仕事術

わかりやすい説明をするための5つのコツと説明上手になる方法

”わかりやすい説明”とは、物事を詳細に説明できる語彙力でも、ユーモアを交え面白く話す話術でもありません。

「確かにそうだね」、「そういわれるとそうかもしれない」・「納得した・腑に落ちた」

上記のように、相手に理解してもらえてこそ、わかりやすく説明できたといえます。

人は自分の経験や知識からしか想像力を働かせることは出来ません。大人の言葉で子供に説明しても理解させることができないし、単純な言葉よりも知識が豊富な人には専門用語の方がすっと入ります。

わかりやすく物事を説明するとは「相手にとって一番理解しやすい情報だけを提供すること」です。

この記事では以下の3つのポイントについてお伝えします。

この記事でお伝えすること

  • 相手の想像に合わせた言葉の選び方
  • 相手の感情に合わせた話の組み立て方
  • 相手に自分と同じ理解をしてもらう方法

上記の3つのポイントを抑えれば、誰でもわかりやすく、相手を納得させる説明力が身に付きます。

是非、最後までご覧になってみてください。

1.説明する力(説明力)とは

説明は「相手が知らない事を教える」あるいは「以前相手に教えたけれど、理解していない」時にするものです。

いくら頭が賢くて、会話の理路整然に話せることができたとしても、以下のような人は説明上手であるとはいえません。

  • 相手に知ってもらいたい事を一度に全部話す。
  • 質問や確認をせず一方的に話し続ける。
  • 普段自分が使っている専門用語をバンバン使う。

なぜなら、自分が話したい事を話しているだけで「相手に理解してもらおう」という意識がないからです。

頭が良いのと説明が上手いのかは全く関係ない

頭が良い、頭の回転が早い人は、以下のように自分の頭の中で話の構成を考えています。

  1. ○○をするためには、□□を意識しなければいけない。
  2. □□をする上で、●●がポイントになってくるよね。
  3. ●●では■■が重要になってくるから、△△の手順が最重要。
  4. △△の手順で効率よく進めるためには、◎◎をすればいいということがわかるよね。

上記はあくまで一例ですが、頭の回転が速い・頭の良い人は、話を聞けばすぐに正解がわかります。

だからこそ「自分が論理的に説明さえできれば、相手は必ず理解する」と思い込んでいます。

そのため、自分が説明している途中で、「相手の理解が間違った方向に進んでいること」に気づきません。

だから「え?なんでわからないの?」と説明を理解できない人の気持ちに立って説明することができないのです。

説明力とプレゼン力は全くの別物

これが説明ではなくプレゼンなら話は違います。

「AとBのプレゼンでどちらが良かった?」と聞かれたら、誰でも優れたプレゼンを選ぶ事ができます。

なぜなら、話を聞くだけでいいからです。しかし現実の説明は、話を聞いて「じゃあそんな感じでやってください」と言われます。

話を聞いている内は「なんとなくわかった」という気分になりますが、実際に自分1人でやると「あれ?」となる事が多いですよね。

「プレゼン力」と「説明する力」は全く別物の力であるといえます。

説明がわかりやすい人・説明が上手い人の3つの特徴

説明がわかりやすい・説明上手な人とは、以下の3つのポイントを抑えている人であるといえます。

特徴1:相手の興味や経験に合わせた例で説明できる人

人は自分がこれまでに学んできた知識・経験でしか想像力を働かせることは出来ません。良い例えとは、相手の記憶にある、相手が興味を持っている、これまでに触れてきたことのある例えである必要があります。

だからこそ、年代が違えば、これまで受けてきた鉄板のネタで合ってもすべることはあるし、趣味や性格があえば、どれほど拙い言葉であっても「それ!わかりやすい」と分かり合えることは非常に多いです。教え上手な先生やセミナー講師は、トップセールスマンはそうした空気を察することに長けています。

いきなり説明せず、その人の性格や趣味、これまでに経験してきた事を聞き取り、その人に合う例えネタを探します。

特徴2:1度の説明でイナフポイントを設定できる人

説明には段階というものが存在します。

初心者にあれもこれもと説明しても混乱するだけだし、全く同じ説明であったとしても、「ある事が出来るようになった時」、「あることがわかるようになった時」に改めて説明を聞いた時。「そういうことだったのか!」という”理解できるタイミング”が人には存在します。

だからこそ、1回目の説明では「ここまで説明できたら十分かな」とか「今回はこれさえ理解してもらえればOK」という話の満足(イナフ)ポイントを設定します。

「どうせならこれも話したい。あれも伝えたい」と欲張るほど、相手には理解してもらえません。

特徴3:相手の間違い方をイメージできる人

話を聞いて「説明がわかりやすかったかどうか」を決めるのは相手です。

超有名進学塾講師だろうが、カリスマセミナー講師であろうが、1万人の生徒がその先生を信奉していようが、自分が理解できていなかったら、自分にとってその人は「わかりやすい説明であった」とはいえません。カリスマ講師である理由は、相手の返答や表情を見て、「こういう風に捉えたな」とか「こういう解釈をしている」と相手の思考を読み取る、間違うパターンの引き出しが多いことにあります。

人は間違えようと思って間違えません。その答えが心の底から正しいと思うから間違うのです。

間違った選択肢が正しい答えだと思っている人に、正しい答えを何度教えても、人の行動や考えは変わりません。

「こういう理由から君はこう考えるんだよね」

今自分が抱いている考えが間違いであることに気付かせてあげる説明こそが、わかりやすい説明であるといえます。

2.わかりやすい説明をするための5つのコツ

わかりやすい説明をするには、以下の5つの意識をする事が大切です。

コツ1:結論から説明する3つのパターン

最後まで聞かなければ「何の話かわからない」と言うのは非常に負担がかかります。

先に「これから○○について話すね」ということがわかっていれば、ゴールから逆算して、話を聞くことが出来るので、話をしている途中で論点がずれたり、例え話がずれていたとしても、ある程度理解してくれます。

「よく結論から先に述べましょう。」とセミナーや書籍で言われるのはそのためです。

結論には以下の③パターンが存在します。

相手に知らないことを説明する時

相手が知らない新しいことやこれまでしたことのない事を教える場合であれば、以下の3つの事がポイントになってきます。

概要○○をする方法をこれから教えるね。
用途これから教えることは、○○するためのものだから。
要求○○のレベルでこなせることがゴールだからね。

結論とはゴールであり、ゴールさえ明確になっていれば、やっている途中でミスをしたり、わからなくなっても修正が利きます。

中身ばっかり話す人は「後で、そうじゃなくて・・・」という事が非常に多く、聞いている側からすれば「それなら最初に言っておいてくれよ」という気分になる事が多いです。具体的なやり方や手順から話し始めるのではなく、まず最終的に何が出来るようになって欲しくて、目指して欲しいクオリティはどの程度で、どういったときにそれを実践して欲しいのか?を最初に説明するようにしましょう。

相手のこれまでのやり方を変えて欲しい時

2つ目のパターンは、相手を変えたいときの説明です。

この場合では、相手にはすでに自分なりのやり方や考えた方が存在しているので、分かりやすく説明するには「過去」と「これから」の対比をしてあげる事が重要です。

現状今までこういうやり方で進めているよね。
未来それをこういうやり方に変えて欲しい。
違い具体的には、この部分を意識して変えてほしい。

「今までこういうやり方をしている」が「このやり方に変えよう」といったように、「違い」をまず最初に話すようにしましょう。

相手に同じ事を説明しなおす時

3つの目のパターンは、同じ事をこれまでに何度も説明してきた時です。

このパターンの場合、相手は「自分はできている」と思い込んでいます。なので、結論としては「相手が自分に出来ていないことを自覚させる」ことになります。

推測こういった点で自分は出来ていると思っているかもしれない。
比較でも周りの人は、こういった意識をしているんだ。
気づきなので、もう一度理解できるまで聞いてほしい。

この結論を先の述べていないと、話の途中で「自分は理解しています」とか「その話は何度も聞いていますが」という反応をされるので、「自分が正しく理解できていない」からもう一度しっかり最後まで話を聞いてくれ、と伝える事が大事です。

コツ2:相手に理解させるために会話を細かく区切る

「今からこれを伝えるね」ということができれば、具体的な話をしていくことになりますが、ずっと自分が喋りっぱなしという状況は避けるようにしましょう。

相手が途中で間違った理解をしたまま話を聞いてしまうと互いの認識が大きくずれてしまうので、必ず相手が会話についてこられているかを確認しながら会話を進める事が大切です。

全体像の説明:説明のパーツをステップに分解する

話を聞く側として、「全体として話の流れがわからず聞く」というのは非常にストレスがかかります。話がどれくらい続くのか、「今どの段階の話をしているのか?」がわからないからです。

「5STEPの段階があります。」、「全部で方法は3種類です。」、「根拠は3つです。」

上記のように、全体として話のパーツがいくつあるのか?の説明の全体像を先に紹介しておくと「今はこの話をしていて、次にこの話に進むんだな」と”相手の話の予想をしながら聞く”ことができます。相手の話の方向性が見えない、次に何を話すのかイメージできない、というのは相手の一言一句に常に集中していなければいけません。

相手が想像力を働かせながら、話を聞けるように、概要説明や全体像を軽く紹介しておくことは非常に重要なポイントの1つです。

話を短く区切ってゴールを迎えてから次のステップに進む

パーツを区切るというのは、説明力向上の上で非常に重要なポイントの1つです。

例えば、これから教える内容を5STEPに分解した場合、STEP1が終わった段階で「ここまででわからないことはある?」と相手の発言を促し「相手の聞き疲れ」を解消できるし、相手に発言させる機会を設けることで、相手はただ聞けばいいのではなくて、「自分がきちんと理解しているか確認される」という意識を植え付けることも出来ます。

すると「きちんと理解して話を聞いておかなきゃ」という気分になり、適当に聞き流すということを予防することにもつながります。

細かく会話の要素を分解して、「自分が説明する」→「相手が理解したか確認する」というサイクルをどこまで丁寧にできるかがわかりやすく話をするコツです。

相手が理解していないのに、どんどん次の話に進むということにならないように注意しましょう。

コツ3:説明力向上に必須な5W1Hの会話をマスターする

よく「5W1Hに気をつけて会話をしましょう。」といわれますが、具体的なコツをご紹介します。

5W1Hとは以下の事を指します。5W1Hを含めた会話の例が以下です。

  • Where(どこで):○○の業務のことについて話すね。
  • When(いつ):○○の業務で■■する時の話なんだけど、
  • What(何):△△の手順があるじゃない?
  • Who(誰):その手順で◎◎のようにこれまでお願いしてきたけど、
  • how(方法):これからは●●のやり方に変えて欲しいんだ。
  • Why(なぜ):▼▼を重視するようにしてもらいたいから

相手に理解してもらうためには「具体的に、どの業務の時の、どの工程の、誰がこれまでにどうやってきたことを、どのようにこれから変えるのか、そしてその理由は」ということまでが1セットになっていなければいけません。それは新しい事を教える時でも同じで「これから新しく教えるときは、どの時にやるもので、なにをする時に、どのような手順で、どのようなことに気をつけてやればいいのか」が明確になっていれば相手は迷わずそれができるようになります。

コツ4:相手の理解度・知識レベルに合わせて話し始める

わかりやすい言葉、わかりやすい例え、わかりやすい説明とは、相手の知識や経験に強く依存します。

私は、昔ウケた鉄板ネタが10歳下の子に同様にウケルとは思いません。それがどんなに世間から見て秀逸な例えだとしてもです。数々の記録を打ち立てたイチローさんでもそのエピソードを話して「ふーん」となる人もいるし、相手と「わかるー」という共感を分かち合えない言葉はわかりにくい説明であるといえます。

相手に合わせた言葉を選びチェックリスト

  • 相手はこれまでにどんな経験をしていそうか?
  • 相手がノってくる話題はどのようなテーマか?
  • 相手は普段どのような言葉遣いをしているか?
  • 相手は話題に関する前提知識をどのくらい持っているか?
  • 相手は知識だけでなく実際の経験をしたことがあるか?

特に若者世代とおじさん世代間で「自分が上手く話せた」と「相手がわかりやすい」と感じるギャップが大きくなりやすいのは、自分基準で「わかりやすさ」を考えるからです。相手を無視して過去の話や興味やない話で例えられてベラベラ話されれば相手はうんざりします。

子供が近くにいたり、異性の兄弟・姉妹がいたり、恋愛経験が豊富、年齢の離れた知人が多い、いわゆる人脈が豊富な人の話がわかりやすいのはそのためです。会話の引き出すを増やす。色々な人の趣味や価値観に触れることも説明力の向上に役立ちます。

コツ5:相手のあらゆる間違いパターンを先回りする

説明だろうが、話し合いだろうが、全て会話というのは、確認の積み重ねです。

  • これが目的の場合は、この公式を使う。
  • この公式はこの手順で計算する。

○○である時、■■をする。たったこれだけの事なのに、出来る人・できない人に分かれるのは、確認がしっかり出来ていないからです。

  • これまでに習った公式との違いはどこにあるの?
  • この公式では何が計算できるの?
  • どういった部分を見たら、この公式を使う!という事が判断できるの?

上記は勉強における説明の手順ですが、説明する側は、正しい答えを説明するのではなく、相手がどのような間違いをするのかを想像する事が大切です。

間違いのパターンを理解していれば、「もしかするとこういう理解をしたかもしれない。」という想像ができます。

自分と相手の理解のズレがどこで起こるのか?

上記を踏まえて説明するのとそうでない場合ではわかりやすさに大きな差が出ます。

3.説明上手になる方法

「わかりやすい説明」とは、説明が理路整然とされている、自分が理解しやすい言葉で説明してもらえるだけでは不十分です。

なぜなら、説明を聞いた上で、「それを受け入れられるかどうか」はまた別の話であるからです。

説明がわかりやすい人になるために身に付けるべき5つの要素

説明は「相手に納得してもらう、自分でもやってみようと思う、自分でもできる」と思ってもらうためにあります。

相手の同意を得る説明力には以下の5つの要素が存在します。

相手が納得のいく説明をする”タスク説明力”

説明する時、必ず、今相手の置かれれている状況を整理する事が大切です。

  • あなた今こういう目標を掲げて努力していますよね。
  • あなたは今こういう役割を任されていますよね。
  • その目標や役割を満たす上で、これから説明する事を出来てほしいのです。

自分が今取り組んでいること、任されていること、目標としていることといった「今の目標」が相手にはあります。

新しい事をさせる・任せるというのは、今やっていることに割り込む行為であり、作業負荷を高めることです。

だから基本的に人は、新しい事をやりたくないし、できないこと・知らないことに対してチャレンジするということに多くのストレスを感じます。

これから教えることはあなたを苦しめることじゃない、あなたの成長にもつながるし、あなたが今取り組んでいることの延長にあるんだよ。と新しいことと今やっていることの関係性を説明する事が重要です。

物事をわかりやすく説明する”状況説明力”

学校でも、仕事でも、プライベートでも、自分のスケジュールや今しなければいけない予定があります。

そんな時に「今までのやり方に更に手間や手順を増やされる」・「もっと丁寧に時間をかけろ」と言われたらどう思うでしょうか?

  • 今でも忙しいのに、やる時間がない!
  • そのやり方でしたら、今している事が後回しになる。

だからこそ、相手の予定や生活時間をしっかりと理解してあげる事が大切になります。

  • この日、この時間、このタイミングであれば、○○する時間は作れます。
  • やり方を変えても、○○分ぐらいしか変わりません。
  • 普段している○○は後回しでいいから、いま言っている事を優先してください。

そうした相手の作業・生活スケジュールを理解したうえで話すと「この人は私を理解してくれるから話を聞いてもいいかな」と言う気持ちになります。

相手が聞く姿勢になるからこそ「話がわかりやすい」となるのであり、話を聞く人がない人に対して、誰が話しても「わかる!」とはなりません。

相手が受け入れられる説明をする”能力説明力”

人は説明を聞いたとき「自分には無理だ、難しい」といったネガティブなイメージを持ちます。

今の自分の知識、能力、経験から「それができそうか、できなさそうか」を想像するからです。

そんな時、「あなたはできると私は思う」、「出来るまでサポートするから」、「誰でも最初はそうだよ」という声をかけられたら、「自分1人では無理でも、そういったサポートがあるのなら」と未来の自分の姿をイメージします。

ただ説明するのではなく、「努力すればできるようになる」という未来の成功イメージを持たせる説明が良い説明であるといえます。

相手がそれを目指したくなる”未来説明力”

「わかりやすい説明・相手の心を惹き付ける説明」というのは、話を聞いていく内に、気分が高まってきます。

説明を聞いた時は「やれと言われたから」、「しなきゃいけないから」という状態です。そこからやっていく内に「そうしなきゃいけない」、「それが出来て当たり前」という自分の常識へと変わっていきます。これが「Aさんにこれまで説明してきたけど、やっとAさんに受け入れてもらえた。Aさんの頭に落とし込まれた」という状態です。

話が上手い人というのは、やる前から聞くだけで「そうした方が良いと思いました!」や「それはいいですね!」という賛同が得ることが上手い人です。

未来をイメージするような説明をして、相手の心を動かす事が何よりも重要です。

相手の協力を引き出す”お願い説明力”

説明で最後となる重要な要素は、情熱です。どれだけ言葉を尽くそうが、最後にやるのは相手自信です。

Aさんならできる、Aさんにできるようになってほしい、Aさんにわかってもらえたら僕も嬉しいよ。

理屈だけでは人の心を動かすことはできません。

良い先生というのは、面倒見がよく、愛がある人です。

相手の成果がでなければ本人よりも落ち込み、成果が出れば本人と同じくらい喜ぶ。

事務的に淡々と伝えるだけでは相手は耳を傾けてはくれません。

説明力を高める上で効果的なトレーニングゲーム

説明力を高める上で最も効果的なものは実践です。

ここまでお伝えしてきたように、わかりやすい説明とは、相手が受け入れられるか、納得できるか説明です。

「話をわかりやすく伝える技術」と「相手の感情を理解して会話する技術」の2つを鍛える必要があります。

その方法については詳細記事を近日中に公開予定をしています。

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