仕事では、人間関係や上下関係、自分の作業状況など様々なことが入り込んできます。
- お願いをしても相手が聞いてくれない。
- 指示をしてもその通りに動いてくれない。
- 指示を出さなければ、指示待ちをされる、時間潰しをされる。
- 指示がわかっていないのに、聞き返してもくれない。
- 後から指示と全然違う行動をしていたことがわかり、トラブルになる。
「人を使うのが上手いこと」と「自分が的確に指示を出せたか」は全くの別物の話です。
「もっと考えて動いてくれよ」とか「少し考えたらわからない?」と相手に責任を押し付けても無意味であることは自分でもわかりつつどうしても感情的になってしまうのは、先輩や上司の立場になってはじめてわかることです。
この記事では、【人を使うのが上手い人の特徴】と【的確な指示を出すためコツ】についてお伝えします。
指示というのは、常時や先輩から後輩・部下に対してするものだけではありません。
- ○○について相談したいのですが・・・
- ○○のサポートや手助けをしてくれませんか?
- ○○についてお願いできませんか?
上記のようなお願い・協力依頼も含まれます。
人を上手く使う・相手に伝わるお願いをする能力を磨くことは、私生活・仕事のどちらでも重要な能力です。
是非、最後までご覧になってみてください。
1.人を使うのが上手い人の5つの特徴
あなたは、どのような人が”指示役”であれば、「わかりやすい」・「動きやすい」と感じるでしょうか?
人を使うのが得意な人とはどのような人か?
私生活・仕事の両方で「自分の思っていることはほとんど相手に伝わらない」という事を意識する事が大切です。
それは以下の理由からです。
相手に指示・お願いが伝わらない原因
- 性格や価値観が違えば、そもそもの判断基準・優先事項が違うから。
- 立場が変われば、目指す目標ややる気が変わるから。
- 知識や経験レベルが変われば、指示内容を正しく理解できないから。
上記のほかにも様々な要因が存在します。
人を上手く使える人は「自分が指示やお願いをしたからといって、相手が自分の思うとおりに動いてくれることなんかほぼありえない。」と考えています。
だからこそ、人を使う事が上手い人は、綺麗に説明する、理論だてて説明することではなく「相手が理解するまで、何度も繰り返し伝える努力」を怠りません。
指示が下手な人の特徴
逆に、人を使う事が下手・指示が下手な人は、「指示やお願いをした瞬間に自分の仕事は終えた」と考えています。
自分は指示・お願いをしたんだから、「してくれないほうが悪い」・「わからないのだったらその時に質問しないほうが悪い」と自分の事を棚に上げます。自分のお願いを聞いて欲しいのではなく、指示を出す事がそのものが目的になっています。
「なぜあなたはお願いを聞いてくれないの」・「わかっていないのに、返事だけするな」・「人の話をしっかりと聞け」といったように、だから、指示を出す事が下手・上手にお願いをできない人は、上手くいかない理由を相手のせいにします。
恋人、知人、家族、部下、後輩、誰に対しても相手と作業を分担・協力すると言う事が上手くできません。
人を使う事が得意な人の5つの特徴
人を使うことが上手い・得意な人に共通する特徴は以下の5つです。
- 指示・お願いの内容が具体的
- 指示・お願いの手順が明確
- 指示・お願いの中断を含んでいる
- 優先度・締切が明確である
- 事前に許可を取っている
それぞれ詳しく説明します。
特徴①:指示が具体的でわかりやすい
具体的な指示を出すために【5W1H】を意識した会話が大切です。
5W1Hを意識した指示
WHAT・・・今何の話をしているのか【主語・目的語】
WHO・・・誰の話をしているのか【誰に対して話しているのか】
WHEN・・・いつして欲しいのか【今すぐなのか・後でいいのか】
WHERE・・・どのシーンの話をしているのか【過去・現在・未来】
WHY・・・なぜそれを頼みたいのか【理由・根拠・目標】
HOW・・・やり方を教える【知識がない人に対して】
「5W1Hを会話で意識しましょう。」とはよく言われることですが、具体的に上記に対応する形で出来ていない人には、以下の会話が出来ない人が多いです。
- 会話内容がいきなり変わるので「指示やお願い」をしていることに気づきにくい。
- 主語や目的語をよく省略するので、誰の・何の話をしているのかがよくわらない。
- できたらやればいいことなのか、指示なのか命令なのか、要望の強さがわからない。
- どのシーンで実行する指示・お願いなのかよくわからない。
- 指示やお願いの理由や根拠が明確でない。
- やり方を教えてくれない。
特に余計な雑談をする人、会話が長い人は、今指示・お願いをしているのか、ただの会話なのかの切れ目がわかりにくく、自分に対する愚痴や不満を言っているのか、今すぐする話なのかがよくわかりません。相手は謝るだけで行動が変わらないのは、叱っているのか・指示なのかがよくわからないからです。
特徴②:指示の中身が対比的であること
あなたの考えるすべてのことは「非常識」です。
例えば、「○○の作業は△△の手順で進め、を□□分で終わらせる。」という作業見込み。これはあなたがこれまでの経験により身につけた感覚であり、相手もそうとも限りません。
「普通、その作業ならこうしてこうやれば、大体○○分くらいでできない?」
上記の無意識に思う「当たり前」・「常識」を当てはめることはよくありません。
- ○○さんや□□さんなら、△△分で終わる作業なんだけど、君にもそれを目指して欲しい。
- 今まで○○をしていたけど、この部分を□□するようにして欲しい。
- ○○ではなくて、□□を最優先目標にするように変えて欲しい。
「今までこうしていたけどこうしてくれ」、「○○ではなく、□□にしてくれ」といった【過去とこれから】・【自分と見本となる人】など、対比構造を会話の中に取り入れるとわかりやすくなります。
特徴③:指示内容の中断が予め盛り込まれていること
また指示やお願いというのは、状況によって変わるものです。そこで以下のように、お願いや指示が代わるものではあることを含む事が大切です。
- もしこうなったら、その時は教えて。
- ○○になるまではそれをして欲しい。
- こういうことを誰かに言われたらやめてもいい。
仕事は上司だけでなく、先輩や同僚から様々なお願いをされたり、指示やお願い、指導は一貫しているとは限りません。矛盾する指示や指導が別々にされる場合もあります。それが混乱する一番の要因であり、不満の原因です。
それをしたことによって、誰かから何か言われるかもしれない、トラブルが起きるかもしれない、そういった時は「教えてくれたら対処するから」という今の指示やお願いを中断してもいい事を含めていくことで、相手は安心します。
特徴④:指示内容の優先度・締切が明確であること
指示やお願いで重要なのが「優先度・締切」を具体的にすることです。なぜならだれもが自分の予定があり、今やりたいこと、していることがあるからです。
指示・お願いされる側の人は以下の事を考えます。
- 今やっていることではなく、代わりにそれをするということなのか?
- それをする代わりにやらなくていいことは何であるのか?
- 今やっている・やろうとしていることより、優先度が高いものなのか?
- 後でやるのであれば、いつまでにそれをすればいいのか?
- 出来るだけ早くした方がいいのか?締切までにやっておけばいいのか?
自分のスケジュールと他人のスケジュールはイコールにはなりません。だからこそ、スケジュールを合わせていく事が大切で、「自分都合で相手が動いてくれる」と意識は絶対に駄目です。
特徴⑤:安心して指示に従えること
Aさんに指示された。後で上司に違う指示をされた。自分は上司の指示を優先して、先輩に「まだやっていないのか」と怒られた。
指示やお願いをする側は、その人が誰かから他に指示やお願いをされていないか?今どんなスケジュールで動いているか確認する必要があります。またこれまでにどんな指導を受け、そのやり方や手順を変えるのであれば、その指導をした人に話を通しておく、根回しが重要になります。
そうしなければ、自分の知らないところで、他の先輩社員や同僚から陰口をいわれたり、怒られるかもしれないからです。また他にも、新しいやり方を指示すれば、失敗したり、トラブルになるかもしれません。
- ○○さんには話を通しておくね。
- もしクレームや困ったことになれば自分が対処するからね。
- ○○さんが抱えている□□のスケジュールだけど、伸ばしてもらえるように伝えるから。
上記の事を配慮する事が大切です。
指示されたくない人にならないために
指示やお願いというのは、「相手の行動やスケジュールに介入する」ということです。
- 指示をしたせいで、トラブルになるかもしれない。
- 指示をしたせいで、スケジュールに遅れが出るかもしれない。
- 指示をしたせいで、他の人がした指示と矛盾が生じるかもしれない。
上記の事を「指示されたくない人」は全く考慮しません。
そもそもの指示が的外れであったり、人間関係に溝をいれるものであったり、スケジュールや作業状況を全く考慮できていなかったり、「この人の指示に従えば、自分が損する」と相手に思われないように、「指示を出すことが上手い・お願い上手な人」になる事を意識する事が重要です。
2.指示を出すのが上手い人になるためには
ではここからが指示が上手い人になるために必要な5つのコツについてお伝えします。
的確な指示を出す5つのコツ
的確な指示を出すためには、指示を出すためにこれから紹介する5つの事前準備をしておく事が重要です。
コツ①:未来予測・未来のパターン化
1つ目は「これから起こり得る未来をパターン別に予測しておく」ことです。
- この調子なら、多分未来はA,B,Cのどれかになる。
- このメンバーなら○○の問題が起こる可能性が高い。
- Aと言う状況になれば○○する、Bになれば□□する。
上記のように、事前に未来の予測ができれば、その時の会話や指示、自分のが取るべき行動を頭の中でシミュレーションしておくことが出来ます。それは指示だけではなくて、営業などでもそうで「こういわれたら、こう返す。」、「こういう反応をされたら、このように進めていく。」といったように、行動の想定が出来ます。
迅速な指示ができる人、状況に対して最適な判断ができる人は、その場のアドリブで考えているわけではなく、これまでに積み重ねた知識、経験からあらゆる未来のパターンを予測しているからできるのです。
コツ②:トラブル予測・ミスの確率予測
未来の予測は自分の仕事、スケジュールだけではなく、周囲のメンバーの未来も同様です。
- あの人は、このままいくと○○になりそうだ。
- あの人が、ミスをするとしたら、多分○○だな。
- あの人は、後で○○の相談や□□のお願いをしてきそうだ。
あらゆるミスや失敗は、全てが同じだけ発声するわけではありません。
人によって起こすミスの種類は違いますし、相手の仕事の進め方を見ていれば、大体起こすミスやこういう結果になりそうだな、という予測が出来ます。
指示が上手い人というのは、「未来の指示を頭に予約」しています。
「もしあの人がこういうミスをすればこういう指示を出そう」、「あの人がこういうことをいってきたら、こう返そう」と未来の自分のセリフを今考える事がで来ます。
コツ③:メンバーの力量把握
上記の理由から指示が上手い人は、周囲の動きの予測をする習慣が身についています。
「あの人は、多分、今の仕事を○○分で終わらせて、次の□□の行動をとるだろうな」と頭で予測をして、自分の仕事を進めながら「やっぱりあたった。」と周囲の動きを横目で見ながら”行動当てゲーム”をしています。
だから、メンバー全員の仕事進捗やスケジュール、作業能力・知識、性格、癖などを全て把握できています。
だから急に話しかけられても、ユーモアのある返しがノータイムで出来るし、相談されたら意見をさらっと伝え、指示しなければいけない状況になれば的確な指示が出せます。
それは常に話しかけれてもいいように、準備がいつでも出来ている状況であるからなのです。
コツ④:トラブル対処法の選択
あらゆるトラブルは防ぐことは不可能です。
職場の人員状況によっては、構っていられない。面倒をみきれない。ということがあるかです。
自分が作業に追われていたり、手が離せない状況では、どのミスは防ぎ、どのミスの発生には目をつぶる、という取捨選択ができないといけません。
例えば、アルバイトの新人が入ってきた。全てのミスを防ぐことは出来ない。なので「指示待ちが発生してもいいから○○の作業しかさせない。」のか「ミスをしてもいいから、○○の作業をさせる」を決めないといけません。
「今、自分が教えながら作業をするコスト」・「新人に仕事をさせないことによるアイドリングコスト」・「新人に仕事を振ってミスが出た時のフォローコスト」
上記3つのうち、最も良い方法を選択する事が大事です。
ミスの発生確率とフォロー時間から考えて、ミスをしても誰かが簡単にフォローが出来る場合、ミスを防ぐよりも、ミスをした後の対処を誰かにさせた方が職場トータルでは最も効率的であるということもあります。
「ミスは必ず防がないといけない」という判断が最も非効率であると言う場合もあるので、柔軟に考える事が大切です。
コツ⑤:業務知識の学習・実験
上記のような判断をするためには、自分に時間がある時に色々試行錯誤をして、自分の引き出しを増やしておく事が重要です。
- あの人に、こういうお願いをしたら、どう返してくるだろう?
- あの人に、新しい仕事をさせたら、どのように進めるだろう?
- あえてミスをだせば、あの先輩社員はどのように行動するだろう?
どのような仕事でも暇な時、忙しい時、という繁忙期が存在します。
暇な時に、「あーやっとゆっくりできる。」ではなく、「今準備して、次はもっと楽に、より高い成果を出せる準備をしておこう」と考える事が大切です。
仕事の準備とは、ただ自分のスキルや知識を学ぶだけではありません。
○○の役割をAさんに与えたらこう動く。□□のトラブルが起きれば、周りはこういう話し合いをする、行動をする。
このような周囲のメンバーの行動傾向の理解も含まれます。
的確な指示を出せる人になる方法
的確な指示というのは確信のもとで行われなければいけません。
- この人にこの指示をすれば、この人はこのクオリティでできる。
- ○○の指示をこの人でだせば、□□しかできないけど、そこは妥協する。
- この人にこの役割をお願いすれば、○○を責任持ってやってくれる。
それは周囲のメンバーの力量と行動をよりリアルにイメージできるからできます。
全ての結果は必然であり、奇跡は起こりません。
普段からできない人に、難しい指示を出してもトラブルが起きるだけです。
この人にはココまでを求める。それは普段からそれができているから。だから、その指示をだす。
○○の指示を出せば、未来は必ずこうなる。
指示やお願いをする場合、確信を持って出す事が大切です。