人材マネジメント

中小企業でもできる高学歴の採用ルート3つ|大手が逃した「金の卵」の採り方

「知名度も予算もない自社に、高学歴で優秀な学生なんて来るわけがない……。」

人手不足がますます深刻化し、中小企業の人事の大半が求人応募数が年々減っていることを感じています。

その理由は「誰でも簡単に給与などの待遇面を調べたり、比較できるようになったから」です。

当然、資本力のある大手と同じ土俵(リクナビやマイナビサイトなどのリクルートサイト経由)で戦えば、100%勝ち目はありません。

なぜなら給与や福利厚生などが簡単に比較され、かつ、高い課金をしなければ検索上位に表示してもらえないからです。かといって、給与などはこれから利益率などの経営体質を改善た先に変えられるものであるので、中小企業が大手と同じような条件で殴りあうことはできません。

ではどうすればいいのか?

方法は3つです。

1つは「大手が見逃した金の卵を発掘する」、2つは「地元志向の優秀層を狙い撃ちする」、3つは「将来、転職や起業・独立などのキャリアアップをするために経験を提供する」の3つです。

真っ向から大手企業と張り合うのではなく、中小企業ならではの戦い方を理解する事が重要です。

本記事では、ナビサイトに頼らない必勝ルートから大手との競合を制すクロージング技術まで、実践的なノウハウを凝縮して解説します。

本記事を読めばわかること

  • 大手がなぜ「尖った優秀層」を不採用にしてしまうのか?
  • 「高学歴=大手志向」であるとは限らない理由
  • ナビサイトを捨てた3つの採用ルート
  • 採用ルート3種類別攻略法
  • 「ライフスタイル」を提案する内定承諾クロージングのコツ

最後まで読めば、中小企業でも優秀な人材で溢れる会社にすることは十分に可能です。人手不足によって、人材の質の2極化は今後、ますます深刻化していきます。是非、最後までご覧ください。

1.大手企業が尖った超優秀層を不採用にしてしまう理由

「高学歴で優秀な人材は、みんなどうせ大手企業に行ってしまう」 という考えは実は間違いです。

正確には「経歴が素晴らしくて、愛嬌があり、真面目で清潔感のある、平均点が高い優等生」が大手企業に採用されます。

その一方で「特定の分野で凄まじい能力を持つものの、攻撃的であったり、内向的であったりと、しばらく関係性を持たないと優秀さに気付かない尖った超優秀層」となると話は別です。

能力は高いと思われるが欠点も多い人材は”大手のシステム的に不採用にして弾き飛ばす仕組み”になっているからです。

まずはその理由からご説明します。

理由①:大手の採用基準は「加点方式」ではなく「減点方式」であるから

数万人もの応募者が殺到する大手企業において、一次面接〜二次面接の目的は「優秀な人を探すこと」ではなく、「無難で問題を起こさない人を選別し、落とすこと」が目的になっています。

そのため以下のような問題を落とさないことが面接の評価の軸となっています。

大手の面接での評価観点

  • 事前に自社に対してリサーチを行い、自社についての理解を深めてきたか?
  • 主張に整合性はあるか?矛盾はないか?
  • 自分のやりたいこと周囲の目標を合わせる協調性はあるか?
  • 組織的な行動を重視し、マニュアルの範疇に限定した主体性であるか?
  • 上司の指示に素直に従い与えられた目標を達成するための創意工夫であるか?

なぜなら毎年、大手企業では数百人単位の採用をします。そして尖った人材は採用後、職場で問題を起こしたりすることがあり、「なぜそんな人材を採用したんだ」と人材が責任を追及されることになります。

「採用する側」と「配属後の教育する側」が協力することでしか「尖った人材を採用し、育成すること」ができません。

だからこそ”どこの部署に配属しても、誰が上司であってもある程度こなせる優等生”を大手は採用したがるのです。

将来の可能性という観点において「独自の強みを発揮し、唯一無二のエース社員になる見込み」よりも「社内でトラブルを発生させそうにない新入社員」に重きを置くので、独自の哲学や強いこだわりを持つ「尖った人材」は選考の早期で落とされる事が多いです。

これが中小企業でも「尖った超優秀層」を採用できる理由になります。

理由②:面接官である「中間管理職」が尖った人材を評価し切れないから

大手の面接担当は、基本的に”専門知識のない人事部の担当社員”です。

部署毎の責任者も同席し「こいつは即戦力だ!欲しい!」と絶賛していても、最終的に不採用になってしまうケースは多いです。

人事部が現場の評価を覆して「不採用」にする3つの裏事情

2次面接等で専門的な質問を行い、現場の人間が高評価、人事の人間が低評価で対立した時、最終的な合否の判定は「不可」になる事が多いのは以下の理由からです。

優秀なのに大手の不採用の理由

  • 人事の評価指標は「減点ゼロ(リスク回避)」だから
    現場の面接官は「こいつが入ったらどれだけ売上を伸ばせるか(加点)」を見ますが、人事部のミッションは「早期離職させないこと」「社内トラブルを起こさないこと」「役員面接で落とされるような変人を上げないこと」であり、少しでも「扱いづらそう」「自社の社風と合わずにすぐ辞めるかも」という要素(リスク)があると、人事部は自分の保身のために安全を取って落とします。
  • 「全社一律の採用基準(ルーブリック)」に当てはめるから
    現場は「現場の課題を解決できるか」で判断しますが、人事は全社共通の「コミットメント力」「協調性」「素直さ」といった点数表で判定します。そのため、尖った人材は評価が極端(得意分野は5、協調性は2など)になりがちで、「総合点が低い」「評価が偏りすぎている」という結果になりがちです。
  • 現場の面接官に「採用の最終決定権」を与えていないから
    大手の採用フローにおいて、一次・二次面接の現場社員はあくまで「一次フィルター」に過ぎません。結果として、現場が「喉から手が出るほど欲しい」と推した尖った金の卵が、現場を知らない人事の「なんかうちっぽくないよね」の一言であっさり落とされるわけです。

大手が求めるのは「完成された組織の歯車になれる総合点の高い人間」であり、「能力が極端に振り切った尖った人材」は大手の採用フィルターではじかれやすくなります。

「大手の現場は『欲しい!』と思っているのに、人事の保身と減点主義のシステムが優秀な芽を摘んでいる。しかし中小企業であれば話は変わります。

現場のトップ(社長や事業部長)が直接面接して即決できるからです。

中小企業にとって「事なかれ主義の大手が逃してしまった超優秀な高学歴層」は、中小企業が最も狙うべき層であるといえます。

理由③:大手の採用システムには「3つの構造的欠陥」があるから

中小企業でも優秀な学生や潜在的に高いポテンシャルを持っている人を中途採用出来る理由には「そもそも面接では人の能力を評価しきることは難しい」ということにあります。

結論から言うと「採用面接での評価」と「入社1年後の人事考課(仕事の成果)」には、ほとんど相関がありません。

一般的な構造化されていない面接(フリートーク中心の面接)と将来の勤務成績の相関計数は約 0.1〜0.2 程度であり、簡単にいうと、「面接で『めちゃくちゃ優秀だ!』と高評価だった人が、1年後に現場で活躍しているかどうかは、10人中多くても2人程度で8人以上が期待はずれの結果に終わっているということになります。

なぜ「面接時の評価」と「1年後の成果」が相関しないのか?

面接での評価と1年後の実務成績が一致しない理由は以下の2つです。

面接の評価が当てにならない理由

  • 面接で評価しているのは「会話の巧みさ(プレゼン力)」だから
    従来の一般的な面接で面接官が高評価をつける要素は「ハキハキ話せるか」「愛想が良いか」「清潔感があるか」「自己PRのシナリオが綺麗か」といった「面接力(=口の上手さ)」であり、実際の業務で求められるのは「粘り強さ」「思考の深さ」「現場での泥臭い課題解決力」です。面接で見ている能力と、現場で必要な能力が全くズレているという本質的な問題があります。
  • 「確証バイアス」と「ハロー効果」という固定観念に捕らわれるから
    面接官が高学歴や有名企業の経歴(ハロー効果)に目を奪われ、「この人は優秀だ」と思い込むと、面接中のすべての発言をポジティブに解釈してしまいます(確証バイアス)。その結果、「面接官の勝手な印象」が高評価になっているだけで、実際の業務遂行能力とは乖離した評価になりがちです。

上記の2つの要素に加えて大手企業特有の構造的な問題が更に重なります。

[大手の選考構造]
❶  人事の能力限界 ──▶ 営業・現場の「本質的な優秀さ」を見抜けず、プレゼン力で判断
❷  多数決評価 ────▶ スコアの平均値をとり、「無難な80点人材」ばかりが残る
❸  相対評価 ──────▶ 応募者の多さからリスクをとってまで尖った優秀層を採用する必要がない

大手の1次・2次面接を担当するのは、現場の第一線で成果を出しているエースではなく、人事部の若手や管理職です。

彼らには「現場で泥臭く成果を出す力」や「尖った専門性」を正確に見抜く力はなく、「ハキハキ話せて面接慣れしている無難な学生」ばかりが高評価を得ることになります。

また大手の選考は面接官複数人の平均点で評価されるため、何か一つ突き抜けた強みを持つ「尖った100点人材」は、誰か一人の「協調性がなさそう」という一言で落とされ、評価が一致しやすい「害はないが面白みもない80点人材」ばかりが最終的に残ります。

そして大手には面接でも問題のない高学歴層が何千人も殺到するため、リスクをとって尖った人材を採用するメリットがありません。その結果、人数と制度の問題によって、実力があるにもかかわらず、建前を取り繕えない尖った優秀層が不採用になります。

大手落ち優秀層が持つ「3つの爆発的ポテンシャル」

こうして大手の選考から漏れた学生は、中小企業にとって「最高のダイヤモンドの原石」です。彼らには、普通の中小志向の学生にはない3つの強みがあります。

大手落ちを狙うメリット

  • 地頭の高さ(教えたことの吸収力と自走スピード)
    基礎学力と論理的思考力が備わっているため、業務の意図を汲み取るスピードが圧倒的です。1を教えて10を理解し、自ら考えて動く土台を持っています。
  • 折られたからこそ生まれる「プライドと負けず嫌い」
    大手に落とされたことで挫折を味わっていますが、根底にある「自分はできる」というプライドは消えていません。この不屈のメンタリティは、仕事への強い執着心に化けます。
  • 「見返してやる」というリベンジ消費的成長意欲
    「自分を落としたあの大手企業よりも、早く成長して見返してやる」「同級生より早く出世してやる」という強烈な反骨精神を持っています。このエネルギーこそが、入社後の爆発的な成長を生み出します。

中小企業でまず狙うべきは大手落ちの優秀な学生、あるいは潜在的なポテンシャルを持っているけれど目立った実績がない中途だといえます。

もちろん数は多くはありませんが、他の会社が見落としているダイヤの原石を以下に発掘していくかが「中小企業の人事の腕の見せ所」です。

その手順と方法についてこれからお伝えしていきたいと思います。

2.地方の中小企業が狙うべき採用ターゲット3タイプ

ここからは具体的に中小企業でも出来る優秀な人材を採用する方法についてお伝えしていきます。

大手に就職しなかった、あるいはできなかった優良学生・中途は大きく3つのタイプに分ける事ができます。

中小が狙うべき3つのタイプ

❶ 【タイプA:大手落ち・挫折型】 ──▶ 「見返したい・自分の価値を正当評価されたい」

❷ 【タイプB:ベンチャー成長型】 ──▶ 「大手の歯車は嫌だ・若手から裁量権が欲しい」

❸ 【タイプC:地元志向・高コスパ型】──▶ 「転勤したくない・地元で豊かな生活を送りたい」

上記の3タイプに合わせた採用戦略・戦術を練る事ができれば、中小企業でも優秀な学生・中途を採用することができるようになります。

タイプA:大手の選考が通らなかった挫折型

1つ目のタイプは、ここまでお伝えしてきた「大手の減点主義フィルターや人事の事なかれ主義によって不採用になった優秀層」です。

彼らは地頭が良く、論理的思考力や課題解決能力に長けています。しかし、独自のこだわりや強い意思を持っているがゆえに、大手の面接官からは「扱いづらそう」「協調性に欠ける」と判定され、早期に弾かれてしまいました。

タイプAの中小企業のメリット

  • 反骨精神と強い成長意欲
    大手に落とされたことで一度プライドを折られていますが、根底にある「自分はできる」という執着心は消えていません。「見返してやる」というエネルギーは、入社後の爆発的な成長力に化けます。
  • 0→1を生む思考力
    マニュアル通りに動く優等生とは違い、自ら課題を発見して泥臭く価値を作る「事業家タイプ」の素質を持っています。

大手志向の学生に対して中小企業がアクションを起こすタイミング

こうした感度の高い優秀層と中小企業が接触すべきタイミングは、「インターン期(大学3年の夏〜秋)の手前」と「大手の結果が出揃う5月以降」の2段階です。

  • インターン期:ES添削や模擬面接で「恩」を売る
    選考が本格化する前から、学生に対して「大手突破のためのES添削」や「本気の模擬面接フィードバック」を行い、徹底的に学びと成長を提供します。 受験でいう「併願校」と同じで、教育を通じて事前に深い信頼関係を築き、「もし第一志望の大手がダメだったらウチにおいで」と種をまいておくのです。数人が本命から落ちて戻ってくるだけでも、中小企業にとっては大勝利になります。
  • 5月以降:不採用理由の開示と「リベンジ選考」という救い
    大手で不採用になり、「なぜ僕はダメだったんだろう」と暗闇で悩む学生に対し、中小企業は「君のここがダメだった」「大手には刺さらないが、うちではここが評価できる」と具体的なフィードバックを与えます。 さらに「指摘した点を修正してもう一度挑戦できる『リベンジ選考』」を用意することで、大手から拒絶され傷ついた学生にとって、中小企業は「自分の本質を見抜いてくれた唯一の救世主」になります。

大手志向をしていたが選考に落ちた。というのは”能力はあるが人間的に未成熟だった。あるいは就活への準備が出来ていなかった。”というだけであり、中小企業が最も狙いたい層です。大手の選考漏れという挫折経験を味わっているため「自分の能力はこんなもんじゃない。」「大手に内定をもらえた奴らを見返したい」という強烈なエネルギーを秘めています。

「大手の見る目がなかっただけ」「君の強みや専門性は、うちなら即戦力として評価する」「一緒にあの大手を見返そう」というフレーズが最も効果的です。

ただ中小企業にとって最も魅力のある層であるため、他の中小企業に流れないように大手の選考が始まる前の囲い込みをする方法に関しては3章で解説します。

タイプB:大手の歯車は嫌だ!早期キャリア形成を目指すベンチャー成長型

2つ目のタイプは、最初から「大手の年功序列や下積み期間」に疑問を感じており、「若いうちから事業を動かしたい」「スキルをつけて個で稼げるようになりたい」という強い成長意欲を持った層です。

本当の意味で能力の高い人にとって「大手企業で給与が上がっても、転職市場で使えない経験やスキル」というのは、人生という長い目でキャリアを考えるとリスクでしかありません。

なぜなら「30年の間に会社が傾いたり、倒産したら転職市場での自分の価値を保てなくなる」からです。

これが「企業の看板」よりも「自分の市場価値を高められる環境<実績を積むチャンス>」を重視する人が急速に増えている理由です。

タイプBの中小企業のメリット

  • 圧倒的な当事者意識と自走力
    会社を「自分の成長機会」と捉えているため、指示待ちにならず、自ら課題を見つけて泥臭く動いてくれます。
  • 0→1・1→10を動かす即戦力性
    経営陣の近くでビジネスの全体像を学びたがるため、入社直後から新規事業や現場の改革を推進するエース候補になります。

このタイプは経営者や管理者にとっては「3年から10年程度で独立したり、スキルアップの転職をされるかもしれない。」と思われるかもしれません。

仮に転職や独立、起業されたとしても、関係性次第で関連会社としての連携ができるかもしれませんし、独立できるほどのスキルがあるならそれまでに圧倒的な収益を会社にもたらしてくれますし、独立支援という環境を作り、円満卒業退社という文化を作ることで、自分が抜けても回る環境を作ってからやめてくれるかもしれません。

会社に対して恩を感じている能力のある人が社外にいるというだけで、従業員という雇用形態に固執する必要はありません。必ず自社に何らかの形で恩を返してくれるので、能力のある人がステップアップする環境を用意するというのは、中小企業だからこそできる優秀な人材が集まってくる最も魅力的な部分でもあります。

タイプBを惹きつける中小企業の人事戦略

このタイプに「安定」や「福利厚生」をアピールしても全く刺さりません。刺さるのは「裁量権」「決断のスピード」「経営者との距離の近さ」であり、情報への感度が高いので、情報への質で勝負する必要があります。

  • 選考で経営トップ(社長)を即投入する
    大手の「人事・現場社員・役員」という何段階もの無機質な選考ではなく、最初の段階から社長や事業部長が出向き、「君に任せたい事業がある」と直接スカウトします。
  • 「失敗を許容する文化」と「意思決定の権限」を見せる
    「うちなら1年目から予算を持たせるし、失敗しても責任は俺が取る」という姿勢を見せることで、大手の社内政治に嫌気がさしている学生を一撃で惹きつけます。

このタイプには、「能力次第で2年でリーダーになった人もいる。」「面白い企画なら通れば、事業を動かす主役になれるよ」というフレーズが強烈に刺さります。

またベンチャーなどのスタートアップ企業に興味があることも多く、企業SNS(X・Instagram)による”会社の日常風景”や”その業界におけるこだわり発信”などの情報にも敏感で、有給インターンやアルバイトからのステップアップにも積極的に参加することも多いです。

また大学機関と連携をとって、ゼミのゲストスピーカーに専門知識が豊富な人を派遣するのも1つの手です。そうした野心のある優秀層を囲い込み「経験を積むなら絶対この会社だ」という一本釣りの方法に関しても詳しく3章で解説します。

タイプC:遠方地の転勤は絶対NG!人生の豊かさを重視する「地元志向・高コスパ型」

3つ目のタイプは難関大学出身などの高いスペックや学習能力を持ちながらも、「働く場所・居住地の自由・人生の質(QOL)」を最優先に考えている層です。

都市部の大企業に入社すれば、全国転勤、意に沿わない配属変更、満員電車での長距離通勤がついて回ります。「転勤ガチャ・配属ガチャ」によって、自分の住む場所や生活スタイルを会社に強制されることに強い抵抗を感じる優秀層が急増しています。

これまでの日本人の感覚は「皆のために自分を犠牲にする」という”和を尊ぶ”というものでした。

「会社の為に」「家族の為に」という価値観でしたが、結婚しない割合も増え、たった1つしかない自分の人生を楽しむという点で考えた時、お金や名誉というのは「自分の人生を飾るたった1つの要素」にすぎません。

給与総額という額面からしてみればやや見劣りするが、家賃も安く、生活にかかるコストが低いので、ある程度の給与はある地方の会社で働くほうが、可処分所得が増えることのほうが多いです。

また趣味がアウトドアであれば都会に住む必要はないですし、子育てという点で考えれば、大手の「全国転勤アリ」という条件は、単身赴任のリスクや子育てに関われないという点に関してみればマイナスでしかありません。

慣れ親しんだ地元や友達・家族の近くで賢く暮らすことを望んでいる層は確実に増えています。

タイプCの中小企業のメリット

  • 圧倒的な定着率と安心感
    会社の知名度や規模ではなく「環境や地域・働きやすさ」で選んでいるため、隣の芝生が青く見えて次々と転職する「大手病の学生」よりも早期離職のリスクが圧倒的に低いです。
  • 地域社会への深いエンゲージメント
    「自分の家庭を持つ。」「趣味の友達を作る」「地域や地元のイベントに産する」という特定のコミュニティと強い絆を結ぶため、一度根付いたら所属する組織を簡単に変えないロイヤリティ(忠誠心)があります。

タイプCを惹きつける中小企業の人事戦略

大手企業は構造上「エリア限定職(転勤なし)」にすると総合職より給料を下げたり、昇進の限界を設けたりと冷遇することが多く、ここが地域密着の中小企業にとって最大のつけ目になります。

  • 「勤務地確定・転勤なし」を最大の福利厚生として提示する
    配属リスクに怯える学生に対し、「うちなら勤務地はここから一切変わらない」「地元でずっとキャリアを積める」という絶対的な安心感を提示します。
  • 「実質的な生活の豊かさ(コスパ)」をロジカルに比較させる
    「都心の大手で高い家賃を払い、満員電車に揉まれる生活」と、「地元で満員電車なし、家賃を抑えて広い家を持ち、プライベートも充実させる生活」を比較させます。手取りの数字だけでなく、「生活コストや時間のゆとりを含めた実質的なQOL(人生のコスパ)」がいかに地元の方が高いかを可視化して伝えます。

このタイプには、「就職活動」で「こんな生き方もあるよ」というライフプランの教育をしてあげることが刺さります。

就職活動において、これから自分がどのような生活をしていくかは誰にも教えてもらえません。先輩社員との座談会で「休日はこんな幹事で過ごしているよ」や「生活費はこれだけで自由に使えるお金はこんな感じ」といった社会人生活で実際にかかる内訳を教えてもらえたり、小中学生からの友人との関わりを切らさず、人間としての人生の豊かさをアピールすることができます。

「人としての人生の豊かさ」は、大手が構造上絶対に提供できない武器です。

中小企業でもターゲットを絞った就活をすれば優秀な人材を獲得する事ができる

中小企業の採用がうまくいかない最大の理由は、「大手が好む平均点の高い優等生」を大手と同じ土俵(知名度・条件)で追いかけてしまうことにあります。

  • 【タイプA】 大手が落とした「不屈の反骨精神を持つ0→1人材」
  • 【タイプB】 大手が提供できない「爆速の成長と独立支援の環境」を求める人材
  • 【タイプC】 大手が保証できない「転勤なしの安心感・人生の主導権」を求める人材

自社が求めるターゲットをこの3つのいずれかに明確に絞り込み、彼らの「心の痛点と欲望」に合わせたメッセージを投げかけること。それこそが、知名度も予算もない中小企業が大手から優秀層を奪い取る唯一にして最大の戦略なのです。

恋愛もマーケティングも人材採用も全て同じです。

広く浅く声をかけるのではなく、ターゲットを絞ってピンポイントに刺さる施策を練ること。

量でなくて、質で勝負する。中小企業だからこそできる採用戦術を3章で詳しく解説します。

3.中小企業でも優秀な人材を獲得できる大手に勝てる3つの採用ルート

ここまでで、地方の中小企業が狙うべき3つのターゲット層と、彼らが会社に求める”会社へのニーズ”について解説しました。

ここからは「どうやってその優秀な学生と出会い、関係性を育むのか?」という”3つの採用ルート”について解説していきます。

大手求人ナビサイト(リクナビ・マイナビ等)に高額な掲載費用を払い、大企業の華やかなWeb広告の隣に自社の求人を並べても、知名度のない中小企業の求人は一瞬で埋もれてしまいます。仮にエントリーが来たとしても、それは自社に魅力を感じたからではなく、「数ある内定の1つ」にすぎません。

知名度も採用予算もない中小企業が、自社に熱意を持った優秀な人材を確実に獲得するためには、ナビサイト依存の「待ちの採用」を今すぐ捨て、大手企業にはできない魅力を作り上げる「3つの勝てる採用ルート」をお伝えします。

【採用ルート1】中小企業が優秀な人材を獲得する選考前の「教育・体験型イベント」

採用ルートの1つ目は、選考が本格化する前に、就活生が喉から手が出るほど欲しがる「情報提供」や「学びと体験」といったものを提供し、大手の選考が始まる前に接触の機会を作って優秀な人材をファンにしてしまう囲い込んでしまおうというルートです。

知名度のない中小企業が「自社の会社説明会」を開いても集客はそれほど期待できませんし、かといって合同説明会なんかに参加しても苛烈な競争に勝てるはずがありません。だからこそ、同じ土俵に立って勝負するのではなく、学生が参加したいと思えるイベントを企画することで、就活感度の高い優秀層は集めるようにしましょう。

就活が本格化する前の大学2回生を集客するための施策

就職活動に興味を持つ学生は非常に多く、大学3回の夏のインターンに参加するためのES作成や選考と言うものから逆算した場合、業界研究や職種というものについて興味を示すのは2回生の夏ごろから3回生の春頃と考えることが出来ます。

ほとんどの学生たちはアルバイトで多少会社について知るだけで、具体的にどのような業種・職種があるのかを知りません。BtoBのビジネスであれば尚更です。

「どのような業務をするのかを実際に働いている人たちから聞く」というのは意識の高い学生にとって喉から手が出るほど欲しいリッチな情報であるはずです。下記の例のように、学生にとって「面白そう」と思ってもらえる視点で施策を考える事が重要です。

業種・業務が学べるイベント例

  • 実務体験×対価支給「有給プロフェッショナル体験バイト」
    1日〜数日間、現場にアシスタントとして入り、実務を体験してもらいます。単なる労働搾取ではなく対価を支払うことで、アルバイト感覚で職業体験をすることができます。
  • 会社訪問ツアー&職種別紹介
    会社をツアー感覚で巡っていき、打ち合わせを参観したり、会社で作業している姿を見ることでリアルな作業内容について知る事ができます。またその際に、自社の職種について現場社員と質問できる機会を設け、職種・業種についての知識を学べます。
  • 大学ゼミ連携
    社長や専門知識を持つ社員が大学のゼミにゲストスピーカーとして登壇し、実践的な講義を行うことで、探究心のある優秀層を一本釣りで囲い込みます、その後、懇親会を設定し、特別なオファーを提供すると更に効果は増します。
  • 「新事業・新商品・業務効率化会議」
    自社の改善や企画に関する「自社が今まさに悩んでいる実事業の課題」を題材にした企画会議を開催します。 学生扱いせず、1人のビジネスパートナーとして意見を聞き、「面白ければ実際に予算を付けて採用する」という環境を用意することで、自分の力で会社を変えていく面白さを体感してもらいます。

今では中小企業でも簡単にSNSで集客できる時代になってきています。そこから参加者を募れば独自のイベントを開催することも十分に可能です。業種や規模によっては「ウチではそんな学生にとって華やかに見せることは出来ない」と思われるかもしれませんが、そこはどのような嗜好を持った学生を集めるかのターゲティングと演出次第でどうにもなります。

現場の泥臭さだって、それを本気でやればカッコいいと思ってもらうことも出来ますし、そこで働いている人間が「ウチの会社は小さいけれど誇りが持てる」と心の底から思っていれば、それは大多数の人には響かなくても、必ず誰かには届きます。

大学2回終わりから大学3回生夏までの社会人のリアルな生活を知る採用施策

上記のイベントの参加者に単に情報提供をするだけでは「勉強できました。それを踏まえて本命にいきます」で終わってしまいます。そうならないように大手では絶対にいえないような本音やリアルな社会人生活を聞ける座談会を実施し、学生をファンに変えていきましょう。

中小企業だからできる施策の例

  • 生活費の内訳を全部見せる!「社会人ライフスタイル座談会」
    就活生が抱く「社会人になったらどんな生活になるのか」という生活面の不透明感を解消します。年次別(1年目・3年目・10年目)の「リアル収支内訳」を公開(業界平均も併せて)し、額面給与だけでなく、手取り額、家賃、食費、光熱費、趣味に使えるお金(可処分所得)を包み隠さず提示します。
  • 地方と都会の暮らしぶりを徹底比較!可処分所得で人生を考える座談会
    「先輩のリアルな暮らしぶりが聞けるお茶会」としてカジュアルに誘います。地方都市ならではの家賃の安さや通勤の快適さ、10年目でマイホームを建てた事例などを見せ、「この会社なら自分の人生の主導権を握れる(QOLが高い)」という確信を与えます。
  • 「若手の発案で会社を変えた実績」を伝える座談会
    中小企業ならではのフットワークを生かした「入社2年目の社員が提案した新制度」や「3年目が発案してスタートした新規プロジェクト」など、若手の声から生まれた実際の変革事例をプレゼンし、裁量権の高さ、若くてもチャンスがもらえる事をPRします。
  • 女子学生の不安をゼロにする「産休・育休の『運用のリアル』公開座談会」
    「産休・育休制度」だけでは伝わらない、実際の現場でのサポート体制を可視化します。「制度というお題目」ではなく「無理なく運用するための現場の工夫」を見せることで、この会社では制度が実際に使われているというリアルを提供します。
  • 趣味や推し活を全力肯定!「有給&プライベート充実度」を語る座談会
    女性だけでなく、男性に対しても「プライベートも仕事もどちらも大切にできる」という現代の就活生の価値観に寄り添うコンテンツです。「推しのライブで休みます」「釣りにいきたいので平日に有休を取ります」といった申請に対して、上司や同僚が「楽しんできな!」「釣果報告待ってるぞ!」と笑顔で送り出すリアルな職場の日常を紹介します。

上記のような本音をどこまで出していいかの判断と柔軟な運用は経営陣と距離の近い中小企業でしかできませんし、地方だからこそ、給与の低さを生活コストの低さで魅力として補うことが出来ます。全国平均で給与水準を争うのではなく、その地方で業界上位を目指せばいいので、中小企業にとっても十分現実的な改革であるはずです。

大学3回のインターン前の本命に受かるための塾としての採用施策

大学3回生GW辺りから大手のインターン選考が始まります。そのために学生が求めるのは「ES添削」と「面接練習」です。

就活を応援する採用施策

  • 他社OK!人事監修「ES徹底完成会」
    自社の宣伝は脇に置き、「他社のESも添削OK」という太っ腹なイベントを開催します。 大手企業の面接官は落ちた理由を絶対に教えてくれません。「志望動機や自己PRがこれで合っているのか分からない」と悩む学生に対し、プロの人事が「全業界対応のES個別指導」を行います。
  • 面接の評価内容を徹底フィードバック模擬面接
    どれほど優秀な学生でも練習量が足りていない内は緊張して上手くいきません。模擬面接を行い「こうした方がよかったかな」や「伝えたい事がわかりづらかったから、ここに絞って話すべきだったね」など、学習塾のように大手の本命に受かるくらい本気で指導します。
  • グループワークorグループディスカッション練習
    大手の採用でよくあるようなグループワーク・グループディスカッションを実施し、具体的に何点をつけたのか?どのような評価軸でどのような点数をつけたのかをフィードバックし、その上で、君はこういうキャラが売りだから、こういう風に立ち回ったほうがいいかもね。という対策方法を伝授します。

就活生にとって、社会人は圧倒的な経験値を持つ存在です。「本気で自分に向き合ってくれた大人」に対し、学生は強烈な感謝とファン感情を抱きます。

イベントや添削が終わった最後に、こう伝えるだけで十分です。

これは大学受験における「併願校(滑り止め)」と同じ構造であり、「信頼できる温かい避難所」として自社のポジションを確保しておけば、大手で挫折した優秀層は真っ先に自社へと戻ってきます。

【採用ルート2】中小企業だからこそできる!5月以降の「リベンジ選考採用ルート」

大手の選考結果が出揃い、不採用通知(お祈りメール)が届き始める5月〜6月以降。

ここから始まるのが、中小企業にとって最大の勝機となる「リベンジ選考ルート」です。

この時期に市場へ流れてくる「大手に落ちた学生」の中には、既存の大手の選考基準(総合力・バランス型)にはそぐわなかったものの、特定の領域で圧倒的な強みを持つ“尖った優秀層”が大量に埋もれています。

このルートで最も重要となるのが失われた自信を取り戻す再評価(=リベンジアプローチ)です。

大手選考で失われた「自己効力感」を取り戻す3つの施策

大手の選考から漏れた優秀層を自社に引き込む際、待遇や条件面で勝負してはいけません。そもそも給料や福利厚生の条件で戦えば、中小企業が中堅・大手企業に勝てるはずがないからです。

学生が求めているのは「傷ついた自分自身の能力を、誰よりも高く正当に評価してくれる場所」です。

“失われた自信を取り戻すためのオファー”を正しく提示できれば、中小企業であっても彼らにとっての「第1本命(あるいは圧倒的第2本命)」になることは十分に可能です。そのために強調すべき要素が、以下の3つです。

① 大手選考後に自社での「真の評価」を個別に伝える

早期選考の段階で、あらかじめ自社から「君は〇〇の能力が非常に優れている。だから、その強みを最も引き出せる△△の職種で採用したい」と伝えておきます。

その後、5月以降に大手選考の結果が出揃ったタイミングで、面接辞退者や内定保留者のリストに対してメールを送信します。この際、単なる「その後どうですか?」という追客メールではなく、「自社の評価軸と、それに伴う個別の評価シート」を添付します。

「自社では、あなたの〇〇という能力を非常に高く評価しています。大手の選考結果が出た今だからこそ、もう一度あなたのキャリアについてお話ししませんか?」

「機械的に落とした大手」との対比で、自分を個別にしっかりと見つめてくれていた自社への信頼が一気に跳ね上がり、高い確率で「復縁アポイント」が獲得できます。

② 強みが活きる「仕事・職種・環境」を再定義してあげる

大手選考が落ち着いた時期に、「大手の選考で漏れた学生が、必ずしも能力がないわけではない理由」と題した人事イベントや個別相談会を開催します。

そこで学生に対し「大手に落ちたのは君の人間性や能力が否定されたのではなく、単なる『適性と環境のマッチング問題』に過ぎない」という事実を伝えます。

さらに、自社で現在第一線で活躍している若手社員(実際に大手落ちから化けた具体例)を登壇・提示します。「大手には落ちたが、この環境で尖りを活かして無双している先輩」の姿を見せることで、学生の自己肯定感を劇的に高めた上で、自社の選考へと導きます。

③ 落ちた理由を言語化し「大手に勝つこれからの10年の過ごし方」を提示する

大手企業の選考では、学業スキルや知識だけでなく、「大きな組織でそつなく動くための調整力」や「人間力の総合力(バランスの良さ)」が求められます。

学生に対し、「なぜ大手で不採用になったのか」のメカニズムをプロの視点で解き明かした上で、これからの時代に本当に身につけていくべき実践的な能力と、その磨き方を提示します。

「大手に採用された同年代を、これからの10年でどうやって追い抜き、圧倒的に勝つか」というロードマップを示すことで、学生の目線を「就職活動の失敗」から「10年後のキャリアでの勝利」へと一気に引き上げます。

リベンジ選考で自社が「第1本命」になるための決定打

リベンジ選考で最も重要なゴール。

それは「大手に内定をもらえた学生に、10年後のキャリアで勝たせてあげること」です。

大手を受ける優秀層は、真面目で優秀ゆえに、以下のような「一芸に偏りすぎたアンバランスさ」を抱えているケースが多々あります。

  • これまで学業や個人の成果に全振りし、チームで泥臭く動くことを学んでこなかった
  • 合理的に判断することばかりを優先し、周囲との感情的な同調を意識してこなかった
  • 特定の専門領域に偏りすぎており、総合職としての汎用的なバランスが拙かった

こうした学生に対して、「ウチは君のような尖った人材は大歓迎だよ!」と単に結果(内定)だけを伝えるのは絶対にNGです。学歴やプライドがある分、「でも所詮は中小企業でしょ」と下に見られて終わるからです。

学生に対してお願いするように口説くのではなく、人事・経営者の目線から、現状の評価を客観的に厳しく伝えます。

「大手選考は『どの部署に配属されても70点を取れる総合力』を見る選考だから、君の〇〇という偏りや調整不足の面が引っかかってダメだったんだと思うよ」

一度相手の弱点と現状を冷徹に指摘した上で、こう畳みかけます。

「でもね。それは『無難な子を選ぶ選考』だったからの話だ。ウチのように、君の〇〇という尖った強みを活かせる環境があり、〇〇の支援と実践訓練があれば、君は数年後に市場で圧倒的な成果を出す怪物になれる。俺たちは君のその『爆発的な成長性』を評価しているんだ」

こう伝えられた学生の心理はどう変化するでしょうか?

彼らにとってあなたは、「等身大の自分を正当に評価してくれた上に、弱点と克服法、そして具体的に誰の下でどう育つかという成長ロードマップまで示してくれた唯一の大人」になります。

「機械的な排除」vs「本気の分析とロードマップ」
  • 「自分を機械的なスコアで排除した大手企業」
  • 「自分を本気で分析し、最も輝ける場所と成長の道筋を示してくれた自社」

この圧倒的な対比構造を作り出すことこそが、リベンジ選考の真骨頂です。

条件面や知名度では絶対に勝てない大手企業から、将来のエース候補を奪い取る。

「自分を救い出し、本気で向き合ってくれた会社」として提示できれば、自社に対する最強のファンとして入社を決意してくれます。

【採用ルート3】企業SNS発信による一芸優秀層のダイレクト一本釣り

3つ目のルートは、リクルートサイトやスカウトサイトという第三者メディアに依存せず、自社SNSによるダイレクト発信などによる優秀な人材を直接引き寄せて囲い込む「一本釣り採用ルート」です。

近年では、中小企業でもSNSによる情報発信でもする会社が増えてきました。

企業SNSでバズ動画が生まれる一番のメリットは、”学生の自社に対する興味を集める事ができる点”です。

社長・社員による「こだわり」や「自社文化」のダイレクト発信

企業SNSで動画バズを生み出すためには、作業風景を見せることによる「自社のこだわり」や社員と社長の関わりを見せることによる「魅力的な社風」を演出できることにあります。

そして上記の要素はすべて「これまでは企業説明会や選考に来なければ伝えられなかった情報」です。

企業SNSを上手く活用できれば「大手志向ではない優秀層」を獲得する事ができるようになります。

企業SNSで発信するコンテンツ

  • 学歴や年齢に関係なく、誰もが現場で自由に意見を言い合える雰囲気
  • こだわりを持った作業を見せ「面白そう。」と思わせる演出
  • 「本当に社員を愛している」と思わせる社長や上役のセリフ

中小企業で大事なのは「今の会社規模」ではなく「これから伸びていきそうか」と勢いです。

大手志向の堅実に対し、中小企業はその真逆の伸びしろで勝負する事が重要です。

「この社長のもとでなら自分の尖りを評価してもらえる」「この会社なら自分の個性を爆発させられる」という強烈なファンを発生させることで、自社に直接エントリーしてくる流れを作ることができるのが企業SNSです。

偏差値が低いが人間として魅力のある人材の発掘方法

このルートでは、自社の強烈なファンだけでなく、学歴は低いものの「特定分野で飛び抜けた実績・熱量・行動力を持つ一芸優秀層」を獲得できるのもメリットの1つです。

学歴は低いけれど、面接時の評価が飛びぬけていて、人事の反発を押さえ込んで入社させたら、知識は低いけれど周囲の人間を上手く使って圧倒的な成果を出す人って一定数いますよね。

「上記の学歴はないけどヒトとして優秀な人を発掘する」には、従来の選考方法では上手くいきません。

中小企業が”他の会社が見逃した金の卵”を発見する方法は以下の2つです。

人間力の高い人材の見つけ方

  • 「ES完全自由・動画提出OK」で一芸と熱量を解放させる
    「文字数・書式自由のテキスト」「スマホで撮った1分間の熱量動画」「自身が運営するSNSやYouTubeチャンネルのURL」「独学で作ったアプリ・デザイン・企画書」など、本人が一番自分の一芸と強みをアピールできる方法でエントリーさせます。
  • 「有給インターン」「学生アルバイト」からの登用
    長期休暇を使った有給インターンやBtoBビジネスでも学生アルバイト雇用を増やすことで、現場の働き振りを観察します。また会社の懇親会やイベントに呼ぶことでコミュニティへの帰属意識を持たせます。
  • 大学や高校との連携を強化する
    大学教授とのゼミでのゲストスピーカーとしての参加や学校のイベントに参加するなど、地元学生との接点を増やし、偏差値に頼らない人間としての優秀な層を発見できるチャンスを増やします。

スカウトツールやナビサイトに頼る採用は、結局リクルート等のプラットフォーム側に依存し、コストを払い続けることになります。

大手が見落とした優秀な人材に光を当て、「君のその尖りこそが素晴らしい」と圧倒的な承認を与えること。これこそが、資本力のない中小企業が競合ゼロのブルーオーシャンで、優秀な人材を総取りするための最強の採用ルートです。

4.「大手との競合」を制する!中小企業がすべき内定承諾クロージング

ここまで中小企業で高学歴な学生、人間的に優秀な層の採用集客の方法についてお伝えしました。

最後に「優秀な学生から内定を勝ち取るためのクロージング方法」についてお伝えします。

中小企業がやるべき内定クロージングとは?

中小企業でやってしまいがちなのは「内定を片っ端からだしてしまうこと」です。

より多くの内定を出せば「大手落ちの志願者がでてくるかもしれない。」と思われるかもしれませんが、「第二希望の会社に行くだけ」です。

中小企業でも工夫すれば、自社だけしか提供できない価値を作り上げることは十分に可能です。

例えば、最終選考段階で「この部署での配属を考えているから、もしよければどんな部署か見に来ない?」や「入社したら先輩社員はこの○○が担当することになるよ」など小回りの利く中小企業だからこそ出来ることもあります。

大手であればどの部署に配属になるかも分かりませんし、先輩ガチャへの不安もあります。

採用人数の少ない中小企業だからこそ、内定を出す段階で配属部署や担当社員などを決めておくことが出来るので、そこから実際の業務の面白い部分を見せて興味を惹いたり、配属される職場や先輩社員と選考途中から関わらせて、入社後の人間関係に関して安心させることもできます。

内定承諾率を上げる待ちの内定クロージング

クロージングの本質は、口説くことではなく、価値提供です。

「いつまでに決められそう?」や「本命はどこなの?」といった質問はNGです。恋愛と同じで無理に迫れば相手は逃げたくなります。圧迫感が怖いからです。

そうではなくて「相手がいいなと思える要素を並べていって、食べるかどうかはお好きににどうぞ」という待ちの姿勢を見せる事が内定承諾率を上げる一番の秘訣です。

恋愛と同じで数打ちゃ当るの精神で強引に迫るのではなく、相手側から興味を示すように価値を提示していく。

待ちの内定クロージングを心がける事が重要になります。

「あなたじゃなきゃダメ」ではなく「あなたが最高に輝ける環境」を提示しよう

多くの採用選考では「選考をした結果、自社の要求する水準を満たしたため合格」という会社都合の上から目線の選考です。

なぜなら「自分たちは採用する側である」というイニシアチブを握っていたからです。

そのため学生の能力や人柄を見抜くことに注意が置かれ、選考を通じて学生の自社に対する興味・関心を高めていくという要素が欠けていることが多いです。

しかし裏を返せば、そこに中小企業が付けこむ隙があるともいえます。

これまでの選考プロセスで得た情報をフルに活用しよう

”学生目線の内定クロージング”は以下のようなことをいいます。

学生目線に立った選考の例

「君のその尖った発想力と行動力があれば、うちの〇〇事業という現場に入った瞬間、1年目でこんなプロジェクトを任せられる。2年目にはチームを動かし、3年目には市場から引っ張りだこになるスキルが身につく。うちという会社は、君が最も最高に輝くための『最高の舞台』として使えばいい」

これまでの選考の中で、志願者の性格や潜在適性を社会人としての目線で評価し、その上で「あなたはこういうキャリアを積めば、ポテンシャルの120%を引き出せるよ」と伝えることこそが本当の意味で人事のプロの仕事と言えます。

ただ「合格!」というのではなく、どの部署で、どのような職務について、どの役割を担って、どのようなキャラクターを目指せば、将来の中途市場で最も評価される専門性を見に付けられるのか?という”成長ロードマップの提示”が最も重要になります。

給与が多くなくても「将来のステップアップになる(=多くの経験を積めるチャンスがある)」のであれば話は変わります。転職をしても、それまでに大きな貢献をしてくれ、独立や起業をしても円満退職であれば、退職後も関わりを持つことが出来ます。そして「この会社は小さいが、ビジネスで大事な事を学べる、登竜門的な会社だ。」という評判を生めば、優秀な新たな志願者が増えていきます。

そうやって生産性が高い社員が増えていくことで、利益率が向上し、その利益を給与上昇に回すことで自社のホワイト化を進めることが可能になります。

【コラム】大谷翔平を動かした栗山監督の「環境提示」と育成力

上記の最たる例が、栗山監督が大谷翔平選手を口説き落としたエピソードです。

大谷選手は、高卒でメジャー直行を宣言していました。当時、他球団は「高卒即メジャーなんて無理だ」「まずはプロで投手に専念しろ」と既存の常識(球団都合・都合の良い枠組み)を押し付けましたが、栗山監督だけは違いました。

「君が世界一の選手になるために、日本ハムという環境をどう使い倒せるか」を提示し、誰も見たことがない「二刀流(個人の尖りを最大化する育成ロードマップ)」という最高の舞台を用意したのです。

栗山監督は「お願いだから入ってくれ」と口説いたのではありません。

「君が将来、会社(球団)の看板に依存せず、世界で通用する最高の自分になるための『一番成長できる環境』はここだ」とデータと熱意で示し、大谷選手自身に「ファイターズという環境を選ぶ」と決断させたのです。

大手企業の「決められた仕組みの歯車」では決して味わえない、「一人ひとりの才能を限界まで引き出し、化けさせる個別育成の環境」こそ、中小企業が誇るべき最強の武器です。

会社がキャリアではなく、自分本位のキャリアを意識する教育をする

高学歴といってもまだまだ21歳そこらの子供です。優秀な若手の中途だって、1つの職種を経験しただけのパフォーマーであり、人生全体を考える思考の深さは持ち合わせていません。

だからこそ、日本人の多くの高学歴は大手を志向します。

それはこれまでの日本の3種の神器と言われる人事システム「新卒一括採用、年功序列、終身雇用」の恩恵を最も得られるのが、大手企業であったからです。

しかし、テクノロジーが急激に進化し、社会の変革スピードが加速する現代において、「どこの会社を選ぶか」を迷わせるのはナンセンスであり「労働市場における自分の価値を最大化する環境」を意識しない行き方はリスクでしかありません。

会社の業績に巻き込まれた場合、大手を退職した人のほとんどは特別な技能や専門技能を持っていません。なぜなら完全に出来上がった仕組みの上で動くだけだからです。一方、中小企業では色んな職務を兼任し、意思決定を任されたり、現場レベルでの改善をリードする経験ができます。

内定後に教育すべき自分でキャリアを考えるということ

自分の人生を真剣に考えたことはどれくらいの人があると思いますか?

ほとんどの高学歴は「親や学校の先生に言われるままに塾に行って勉強をして、成績が良かったから進学校に行って、この学部が就職に強いといわれてその中で面白そうな講義や研究室に行く。」という人生を歩んでいます。

実はそれほど意思決定をしていなくて、大手志向というのも親や周りの人がそうした方がいいからという理由であり、周りに流される日本人らしいともいえます。

つまりそこが楔を入れるポイントであり、学生の思考を「会社のスペック比較」から、「自分自身の10年後の生き方」を考えさせることこそが、中小企業がすべき内定クロージングだといえます。

  • 「10年後、会社に依存しない自分になれているか?」
    「AIや科学技術が発展し、大企業の看板すら安心できない時代だ。10年後、会社の看板を外されたとき、あなた自身はどうなっていたい?どんな社会人になって、そのためにはどんな経験を積めばそうなれると思う?
  • 「会社を選ぶな。今のライフステージに最適な環境を選べ」
    「就職とは、特定の会社に人生を捧げることじゃない。自分の人生のライフステージにおいて、『今、一番自分を成長させ、市場価値を高めてくれる最高の環境』を選ぶことだ。うちの環境がその挑戦に最も適していると思うなら、乗っかってくればいい」

「自分の足で立つキャリアを作る」という覚悟を促すことで、大手志向でいるべきかを考え直させるきっかけになります。

[面接室・お祝いの席でのクロージングトーク例]

キャリア教育の一例

「〇〇くん、ウチでは君を高く評価して内定を出したけれど、大いに悩んでくれていいよ。親御さんも『大手のほうが安心だ』と言うかもしれないからね。」

でもね、自分の人生だから自分でよく考えてみてほしい。変化の激しいこれからの時代、本当の『安定』ってなんだろう?

大企業の看板に守られて、決められた仕組みの一部として10年過ごすことか? それとも、若いうちから色んなことにチャレンジして、自分の視野を広げたり、人を動かす、事業を動かす経験を積み、どこに行ってもメシが食えるスキルをつけることか?

ウチもどうなるかわからない。もしも倒産したとしても、ウチの社員の誰もが転職市場で引っ張りだこで、『会社に依存せず、どこでも生きていける人』で居てほしいと思う。それこそが社員にとっての安定だと思うからね。

ゆっくり『最も自分を磨ける環境』とは何かを考えてみてくれ。

上記は「中小企業に就職する」から「自立したプロになるために、あえてこの最高の環境を選ぶ」というパラダイムシフトを起こすことを意識したトークです。親に対しても「自分のキャリアのためにこの会社に行くんだ。」と胸を張って説明できるようになります。

中小企業が内定クロージングですべきことまとめ

クロージングとは、企業が学生を「口説いて囲い込む」作業ではありません。

  1. 「内定承諾を迫る」のではなく、「君が最も輝く環境」を提示する
  2. 「10年後の自分が最も高く売れるようなキャリア構築の仕方」を教育する
  3. 10年後のキャリア自律を促し、自らの意志で「この環境に飛び込む」と決定させる

「頼み込んで入社してもらった学生」は、入社後に壁にぶつかると「会社のせい」にします。しかし、「自分の人生のために、最高の環境として自ら選んで入社した学生」は、どんな困難も自分の力で乗り越え、組織を引っ張る最強のエース社員になります。

口説くのをやめ、向こうから勝手に「この環境で挑戦させてください!」と飛び込んでこさせること。

これこそが、中小企業が優秀な人材を獲得するための採用戦略の全体像です。

「成長するために、ウチを選べ」と本気で言える会社になろう

ここまでお伝えしてきたのは、知名度も採用予算もない中小企業が、大手企業との過酷な採用戦を勝ち抜き、将来のエース社員を総取りするための「心理戦と実践戦術」のすべてです。

あなたの会社は、面接室で学生に向かって、胸を張ってこう言えているでしょうか?

  • 「60歳までの人生において、最後まで生き残るための会社選びとはどういうことかを考えてみよう。」
  • 「ウチでは、あなたのこういう魅力を引き出すために、こういう仕事をしてもらいたいと思っている。」

栗山監督が、大谷翔平やダルビッシュ有を育て上げたように、中小企業の本質的な価値とは、「まだ何者でもない原石を見抜き、圧倒的な育成力で唯一無二の存在へと化けさせること」にあります。

大企業のような豪華なオフィスや、誰もが知る看板(知名度)を用意する必要はありません。 「ここに入れば、自分の可能性が一番花開く」「この会社という環境を使えば、10年後にどこでも生きていける本物の実力がつく」と学生に確信させる「本気の育成環境と情熱」こそが、大手の安定幻想を打ち砕く最大の武器です。

「うちみたいな中小企業に来てくれるだろうか……」と怯み、お願いするように口説く採用は、今日限りで終わりにしましょう。

まずは、私たちが「お前が最も輝く環境を用意した。成長したいならウチを選べ」と本気で言い切れる会社になること。 そして、自分の足で立ちたいと願う熱い学生たちに、最高の舞台を提示すること。

口説いて囲い込むのではなく、向こうから「この最高の環境で挑戦させてください!」と勝手に飛び込んでくる――そのために自社の採用プロセスを0から考えてみませんか?

-人材マネジメント