リーダーシップ

EQリーダーシップ|心の知能指数が高い人の特徴とメリット

あなたはEQという言葉を聞いた事があるでしょうか?

EQは、感情知能指数・心の知能指数と呼ばれ、IQと双壁を成す、ビジネスだけでなく、恋愛、社会生活、スポーツなど、あらゆるシーンで重要視される人間としての本質的な力です。

人は理屈や正論だけでは動かない生き物です。

頭で納得しても心がついていかなければ、正しい判断ができず、「自分は間違っているかもしれない」と思いつつも、自分の発言や態度、行動を変える事ができません。

正論や数値だけで人は思い通りに動かないし、正論で説き伏せよう、ねじ伏せようとすれば、反感・反発を買い、逆効果・更に悪い結果になることの方が多いです。

当記事では、ビジネスだけでなく、恋愛・スポーツ・友人関係でも必要とされるEQリーダーシップについて詳しくお伝えしたいと思います。

IQと双壁を成す心の知能指数:EQとは?

EQは「感情知能指数:Emotional Intelligence Quotient」の略語で”心の知能指数”と呼ばれます。

EQとIQの違い

IQは誰でも知っている言葉だと思いますが、IQは【論理的思考(数値事実や因果関係などによる合理的判断)】を司るのに対し、EQは非合理的思考【好みや感情など主観的判断】を司ります。

初期の心理学では、ヒトは常に最適な判断を選ぼうとする合理的な生き物であると考えられてきました。しかし、心理学研究が進むにつれ、ヒトは時に合理的な判断よりも感情を優先することもあるということがわかってきました。

ヒトと関わる上で、論理的な思考と感情的な思考の双方を学ぶ必要があるというのが、今の心理学の主流であり、それがIQとEQです。

EQが低い人の特徴

EQは一般的に女性が高く、男性が低いといわれ、男性はIQを重視する傾向にあります。

EQの低い人の特徴①:何事でも勝敗をつけたがる

論理思考とはベストな答えを見つけることでもあります。

自分のほうが正論だ。自分のほうが知識がある。一貫性がある。矛盾がない。技能に優れている。実績がある。など、話し合いにおいても、人間的魅力でも、共に作業をする時でも、優劣関係をつけたがります。

そして、自分のほうが優れていると感じれば、相手に威圧的・一方的に命令・指示・指導し、逆に自分より優れていると感じた人に対しては丁寧に接します。

EQの低い人の特徴②:論理思考ができない人が理解できない

論理思考に優れた人は「AならばBで、そうするとCになる」という因果関係、論理展開思考が非常に得意です。しかし、それを周囲にまで求めます。

それが考えないのは、勉強をしないせい、自分で考えないせい、やる気がないせい、など自分と同じレベルで思考することを求めます。

なので、相手が失敗したり、トラブルを起こすと不快・不満を強く持ち、怒鳴ったり、厳しく指導します。その全ては「相手の能力が低い。」と感じているからです。

EQの低い人の特徴③:トラブルを解決するのではなく犯人探しをする

なので何か上手くいかない事が起きたとき、その原因を探し、その原因となった人を見つけ、晒し上げます。「問題が起きた原因を考えろ。対策を出せ。責任をとれ。」といったように。

自分がアドバイスしたり、サポートしたり、一緒になって解決しようとするなんて考えません。

その人の能力、やる気、勉強不足が低いのが根本的な原因であって、その人が反省し、成長する事が重要だと感じるからです。

EQが高い人の特徴

EQが高い人は、論理的な思考よりも、相手を理解する・協力するということに重きをおきます。それは敵を作るよりも、味方になってあげるほうが大事だと感じているからです。

EQが高い人の特徴①:相手の立場になって考えられる

EQが高い人は「正解」・「間違いを探す」よりも、「その結論や行動になぜ至ったのか」を考えます。

  • あなたは○○だと思ったから□□をしてしまったんだよね?
  • それは○○を知らなくて△△になるとは思わなかったから□□しようと思ったんだよね?
  • じゃあ○○を考えてみよう。どうしたらよかったかな?

知識や思考能力、経験というのはバラバラで、誰も失敗しよう・間違えようと思って行動するわけではありません。人の行動には何らかの意図や根拠があり、それを理解してあげなければ、答えだけを教えても、相手が理解できない。と考えます。

EQが高い人の特徴②:相手が受け入れられる感情を作る事を大切にする

あなたは悲しい時、怒ってる時、正しい数値を見せられれば、正論を言われれば、「確かにそうですね」と心の底から納得できるでしょうか?

頭ではわかっていても、言葉では「あなたの言う事が正しいです」と発しても、感情は受け入れていないはずです。

しばらく時間を置くか、相手が自分のために怒ってくれている、相手は自分の事を大切に思ってくれているという関係性である、そう感じた時でしか、相手の意見・考え方を受け入れられないはずです。

EQが高い人は、自分の本題に入る前に、相手が感じている恐怖・敵対意識・不安を和らげ、自分の話しに耳を傾けてくれる感情を作ってから話をする事を大切にしています。

そうしなければ、どのような言葉も相手の耳に、心に、入っていかないからです。

EQの高い人の特徴③:相手の感情に合わせた接し方をする

そのためEQが高い人は、相手の表情や言動、態度から「今、あの人はこういった考えが心に渦巻いているな」、「○○を伝えれば、こういう風に受け取ってしまうだろうな」など、相手の反応の予測をし、誤解や反感・反発をされないように、自分が今問い詰められているという意識が働かないように、相手の感情を察知し、言葉を丁寧に選びます。

敵対感情を解消しメンバー間の間を取り持つEQ型リーダーシップ

恋愛であれば配偶者や彼氏・彼女、ビジネスであれば、同僚・部下、スポーツであれば生徒。

相手の不満や反論、思い込みや誤解というネガティブな反応を解消し、良好な関係性を作り上げるスキルがEQリーダーシップです。

EQを身につけることでどのようなメリットがあるのかをお伝えします。

EQ型リーダーシップとは?

EQ型リーダー:EQの高い人がパートナーであったり、チームメンバーにいれば、以下の3つの変化が相手に生まれます。

効果①:意見を変えやすいようにサポートする

人は例え間違っていても、立場やこれまでの発言や態度、行動を変えづらいです。

「それは自分が間違っていた。」や「無駄なことをしていた。」と認めることになるからです。何事も勝ち負けで考えたがる人には、そういった自分の行動や言動を撤回したくない、過ちを認めないという心理が「自分は間違っていない」という正常バイアスにつながり、建設的・生産的なコミュニケーションが取れなくなります。

そうした時、EQリーダーは、相手を説き伏せるのでも、ねじ伏せるのでもなく、相手の主張やこれまでの思い、努力をしっかりと聴き、それが周囲に伝わる形で評価し、その上で、意見や立場を変えてもらえるような状況を作り上げます。

すると「それなら」と感情的にも傷つかず、受け入れやすくなります。

効果②:人間関係を取り持つ

人間関係においては、嫌い・好きという感情が入り込みます。

嫌いな人の意見や行動を深く考えられる人は少なく、どうしても粗を無意識に見つけようとし、それが非常に理にかなったものであっても、理解できずに反対してしまう。ことはよくあることです。

そこで互いを理解しあうのではなく、間に立ち、代弁・翻訳する役割がEQリーダーです。

「Aさんは、Bさんに対して○○と思うかもしれないけど、△△から見てみれば、□□はとても大切なことじゃない?」など、間を取り持つ、互いの気持ちを代わりに伝えてくれる人がいれば、感情的な反発・対立を防ぐ事が出来ます。

効果③:モチベーションのメンテナンスをする

成果を出すためには、継続が重要ですが、日常は失敗の方が多いです。

「自分のやっていること、考えていること、新たに試したこと」などに対する不安、自信の喪失などによって、努力や試行錯誤を止めたり、指示待ちなど受身になってしまいます。

「あなたのやっていることは間違っていないし、今回は上手く以下なったけれど、あなたの考えや努力は私は評価しているし、成長しているとも思う。」

自分の考えや行動、工夫などの努力を誰かが見ていてくれていれば、自信になり、行動の継続につながります。

EQ型リーダーの必要性とその役割

どんな能力が高い人も、知識がある人も、アイデアがある人も、成果が出るまで行動を続けられるとは限りません。

誰かに反対される。成果が出ない。トラブルが起きた。

そういった瞬間、「自分は間違っていたのではないか」・「無駄な努力をしていたのではないか」

そう感じます。

このブログもそうで、1年間はブログというのはアクセスが集まりません。途中で挫折し、やめてしまう人が9割です。それは経営者やコンサルタントという知識がある人がブログ運営した場合であってもです。

努力を1人でやり切れる人はそういません。

自分が悩み苦しみたどり着いたと思っていても、実は色々なことから刺激・サポートされていることがほとんどです。

EQ力を高めるには

では最後にEQを見につける方法についてお伝えします。

感情知能は大きく4つの要素に分けられます。

図表2 EQで必要な4つのブランチ

画像引用:https://bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO5533559006022020000000?channel=DF010320194863&page=2

自分の感情を俯瞰的に理解するトレーニングをする

冷静ではない人に「落ち着いて」と言っても「私は怒っていないし、冷静です!」と返されます。

感情コントロールは無理に抑えようとするのではなくて「自分の感情を理解する」事が大切です。

  • 自分は今「○○に対して怒っている」
  • それは○○に対して「□□ではなく、○○ではならなかった」と思っているから。

自分が何に反応して、その感情を持ったのか。それが言語化できれば、「感情が高まっている今は話さないでおこう」、「まずはその感情を発散するために○○をしよう」とか「○○さんに話を聞いてもらおう」とする事が効果的です。

自分の感情が言語化できるようになれば、相手の感情を理解する事が出来ます。

言語化能力と言うのは、コミュニケーションにおいて最も重要なスキルです。

行動や態度と感情をつなげるトレーニングをする

相手の現在の感情や気持ち、心理を言語化することができれば、次は、行動と感情を結びつけるトレーニングになります。

  • どのような感情を持てば、それに賛同してくれるのか
  • どのような感情を持てば、その行動をしてくれるのか

○○してもらう、感じてもらうには、□□という感情を作り出す必要がある。

人間心理を深く勉強することで、それを意図的にマネジメントできるスキルが身につきます。

自分とは異なる感性を持った人を理解するトレーニングをする

相手や自分の感情をマネジメントするには、様々な引き出しが必要です。

人の感じ方は千種万別で、何百人を教えてきた先生、コーチ、コンサルタントであっても、日々、新しい個性と気づきの発見です。

「こういう受け取られ方をするのか」・「このように感じる人もいるんだ」

この気付きがなければ、感情の押し付けになってしまいます。自分は○○だと□□の感情を感じるけれど、他の人ではそうではないかもしれない。

相手の感情を正しく理解し、正しく共感し、正しくサポートするには、自分の感性や経験を押し付けるのではなく、「この人は○○に対して、□□の受け取り方をしているかもしれない」という人類学的、多文化理解のノウハウ、トレーニングが必要になります。

目的を持って人と関わるトレーニングを積む

最後は、仮説と検証、修正を繰り返すトレーニングです。

自分が正しいと思ったことでも、試してみれば上手くいかないことも多いです。それを主観的に判断するのではなく、観察手法や数値による客観評価によって科学的にPDCAサイクルを回していくマネジメントノウハウを学びます。

その繰り返しによって、EQ力を磨いていける研究・学習ノウハウを身につけていきます。

まとめ

人は論理や損得だけでは動きません。

それは決して感情的なヒトに限ったことではなくて、論理的、実績重視の人も、プライドや自分のおかれた状況によって、自分では間違っていると気づきながらも行動を変えられない。意見を曲げられないことがあります。

感情に寄り添うと言うのは、ただ相談に乗る、話を聞いてあげるという上辺だけのテクニックではなくて、相手にとって折れてもいいと思える状況、しがらみを取っ払って冷静・客観的に考えることのできる状況を作ることです。

相手の顔を立てる、誰も損しないように根回しをする。

それがなければ、どれほど秀逸なアイデアも絵に描いた餅で終わります。

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