リーダーシップ

【シェアドリーダーシップ】チームワークがある理想の職場の姿

チームワークの高いチーム(職場)とは、どのようなチームだとあなたは考えますか?

  • 個性的なメンバーが揃っている。
  • メンバー全員が長所を持っている。
  • メンバー全員が欠点を補い合っている。
  • メンバー全員がやる気に満ち溢れている。

人によってイメージする理想のチームの姿は様々であると思いますが、チームワークの高いチームにはある共通点があります。

それは以下の3つを満たすチームです。

チームワークの3つの条件

  1. メンバー全員が受身ではなく、自発的であること。
  2. メンバー全員が自分のために他者を動かせていること。
  3. お互いの性格や技能、経験を理解し合えていること

結論から言うと、チームワークが高い、チームワークがあるチームとは、”シェアドリーダーシップ”を発揮しているチームです。

この記事を最後までご覧になっていただければ、1人はみんなのために、みんなは1人のために。という言葉の本質を理解できると思います。

シェアドリーダーシップという考えは、スポーツでも、プライベートでも、ビジネスでも必要とされる考えです。

是非最後までご覧になってみてください。

1.シェアドリーダーシップとは?

これまで高業績を収める職場、ハイパフォーマンス組織を作るためには、優れたリーダーさえいればという考えが主流でした。

垂直的リーダーシップ

しかし、ワンマンリーダーによる恐怖・豪腕政治では必ず以下の問題が起こります。

  • 今は怖い先輩・上司がいないので、手を抜こう、今の内にサボろう。
  • 指示されたことはした。なので後は要領よく時間を潰そう。
  • 納得できないけど、上司や先輩に歯向かっても損するから「ハイ」と返事しておこう。

人の感情や行動を完全にコントロールすることなんて誰にも出来ません。

そこで考えられたのがシェアドリーダーシップという考え方です。

シァアドリーダーシップモデル図

そもそもチームとは、新人、後輩、先輩、同僚、責任者という関わりの中で形成されるものであり、その総合力で示されるものではないの?、1人の能力で考えること自体が間違いなんじゃないの?

こうした疑問から、リーダーシップは個人で発揮するものなんかじゃなくて、チームで共有するものと考えられるようになりました。

ビジネスにおける理想のチーム像と3つの条件

では「チームワークがある・チームワークが高い」とは、どのような状態であるのか?からご説明していきます。

「理想的なチームであるかどうか」はメンバーの自発性をみればわかる

あなたがどれほど優れた人であっても完璧な指示・指導をすることは不可能です。

その理由は簡単で相手が何を考えているかなんて誰にもわからないからです。

だからこそ、質問や相談、報告を相手がしてくれなければ、相手を助ける適切な指示・指導はできません。

もしも、後輩や部下が「○○でわからないことがあって、□□という状況なんですが・・・」と事細かに状況を説明してくれたら、「それなら・・・」といったように適切な言葉を出すことが出来ます。なぜなら、必要な情報を部下や後輩が提供してくれているからです。

指示や指導の質は、上司や先輩の技量よりも、部下や後輩の質問・相談力に依存します。

チームワークは、部下や後輩、新人たちといった立場が弱いメンバーが生き生きとしているかどうかをみればすぐにわかります。

「チームワークがある」とは自分のために他者を動かせることを指す

チームワークとは、誰かのために自分が犠牲となるイメージが強いですが、実際は逆です。

例えば、新人メンバーで「どうしてもこのやり方がわからない。調べたけどわからない」という状況に陥った時、自分では解決ができません。

そうした場合、自分がやるべきことは「先輩に教えてもらえるように、上手くコミュニケーションをとる」ことです。

チームワークは「まずは自分がスムーズにストレスなく作業を進める」ためにあり、チームにおいて、ストレスなく仕事ができるようになれば、次は相手がスムーズに仕事ができるように自分が助ける側に回ります。

犠牲の上にチームワークがあるのではなく、感謝の先にチームワークがあります。

「チームワークが高い職場」ではお互いの性格やスキル、経験を熟知し合っている

「作業分担や連携を強化する」というのはチームワークの最終フェーズです。

チームワークがない状態の職場で「チームワークを発揮しましょう」といっても何をすればいいかわからないのが普通です。

なぜなら、お互いの性格や長所、これまでの経験・知識など、相手の事を知っているからこそ、どう助け合えばいいのかが見えてくるからです。

  • この仕事ならAさんが一番上手く出来ると思う。
  • 今、Aさんが仕事に追われているから、手の空いているBさんにフォローをしてもらおう。
  • Aさんが抱えているこの課題は、Bさんの性格の方が合っているので、Bさんとスイッチさせよう。

チームメンバーの性格、能力、経験、適正、人間関係、そういったお互いの事を理解できたからこそ、アイコンタクトや阿吽の呼吸、目で会話できるようになるのであって、チームメンバー同士で仲良くしよう、お互いの事を理解しようという気持ちなしに、チームワークは生まれません。

チームワークとリーダーシップ

チームワークといえば、「自分の考えや目標よりもチームを優先する」という自己犠牲の精神と考えられがちですが、実際は個性の先にチームワークがあります。

逆に考えて見ましょう。

全員が似たような性格、能力、知識、技能であれば、誰がどのポジションに付こうが同じです。誰もが同じような考えで、同じやり方で、長所も短所も大して変わらない。

そうした状況なら連携なんて生まれません。

苦手な事がある、得意なことがある、経験が違う、性格が違う。だから考え方も、仕事の進め方も、人間関係も変わります。だから助け合えます。

チームワークを高めるためにリーダーシップは必要不可欠な要素です。

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以下の記事では、ビジネススキルとしてのリーダーシップをわかりやすく解説しています。

リーダーシップはリーダーだけが発揮すべき能力ではなく、誰もが身に付けるべき社会人としての基本的なスキルであることをご理解していただけると思います。

リーダーシップとチームワーク

チームワークとは、ギブ&テイクの関係でないといけません。

自分は助けてもらうけど、自分には個性がない。長所がないから貰うだけ。

そんな一方的な関係性では、良い関係を築くことなんてできません。

長所とは気付くものであり、伸ばしていくものです。

自分の潜在適正に誰もが気付いていないだけで、それに気付くことさえできれば、自分の人間としてのキャリアを伸ばしていくことは可能です。

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リーダーシップは「○○ができるという能力論」ではなく、「こういった考えをする事が多い」という生き方であり、ビジネスで求められる人間のキャラクター(リーダーシップスタイル)は全部で11種類あります。

以下の記事では、自分の適正のあるリーダーシップを見つける方法とその磨き方について解説しています。自分の長所を磨き、伸ばしていく方法についてわかりやすく解説していますので、是非参考にしてください。

チームでリーダーシップを共有するシェアドリーダーシップ

ビジネスで業績を測る単位は個人ではなく、本来は職場:チームレベルです。

誰がそれを指示したか、指導したか、行動したか、なんてものはどうでもよくて、「チーム内の誰かがしていれば十分」なのです。

しかし、それを誰かに押し付けるから以下のような様々な問題が出てくることになります。

  • 自分にはそういった指示や役割は与えられていないし、しなくてもいいと思った。
  • 先輩や上司がするのでいいと思った。
  • 自分より仕事ができる人なので、余計なお世話だと思った。

仕事や業務を細かく分ければ分けるほど、出てくるのが「それは私の仕事ではない問題」です。

自分に指示された業務さえこなしていれば、仲間が困っていようが私には関係ない、先輩や上司や仕事ができる人が助ければいい。でも、自分が仕事に追われていたり、すれば助けて欲しい。自分ばかり作業量が多いのは納得いかない。と自分が都合が悪くなる時だけ不満を言う。

それらは全てチーム全体でリーダーシップを共有するシェアドリーダーシップがないから生まれることです。

2.シェアドリーダーシップのメリットがわかる5つの事例

では具体的にシェアドリーダーシップがあるチームでは、メンバーはどのような意識を持って作業できているかについてみていきましょう。

事例1:指示待ちがいなくなる

自分から仕事を探さない、自分の業務をこなせば仕事をしているフリをする。

指示待ちというのは、「自分の仕事は先輩や上司から言われた事をこなせばいい」という受身の姿勢から生まれます。

誰かが困っていれば「何か手伝いましょうか?」と聞けばいいですし、自分から先輩や上司に「次は何をすればいいですか?」と聞けばいい。もし、先輩や上司が忙しそうで聞ける状態でなければ、次の仕事の準備をしたり、これまで放しかけたことがないけれど、仕事をよく知っていそうで、手が空いている人に声をかければいい。

仕事がないという状況は「仕事を探そう」としていないだけです。

事例2:安心と信頼が生まれる

指示待ちは、部下や後輩側の問題だけでは当然ありません。

教えてもらってもいないのに「自分で考えろ」・「仕事は自分で探すもんだ」と冷たくされれば、次から聞きたいとも思いません。良かれと思って仕事をしても、「余計なことをするな」といわれれば、「勝手なことをしたら怒られるだけだ」と思います。

上司や先輩は部下や後輩に聞かれれば、どんな状況であろうと、どれだけ忙しかろうと、部下や後輩の質問や相談に手を止めて答える。

この世はギブ&テイクで成り立っており、部下や後輩のやる気だけで片付けていいものではありません。

  • この先輩や上司に聞けば、必ず教えてくれる。絶対に冷たくされない。
  • この部下や後輩は、やる気があり、自分から仕事を覚えようとしている。

この安心と信頼関係が積極性・主体性のあるメンバーを増やしていきます。

事例3:チーム視点で物事を考えられるようになる

仕事を任せられない、相談できない、助け合いができないというのは、互いに信頼していない事が一番の原因です。

お願いした事を後回しにされるかもしれない、真剣に話を聞いてくれない、自分が求めるレベルでやってくれない。

上記の事が起きれば、責任は自分がとることになります。

「だから結局、自分でやった方が確実だ」となるわけです。

それでは、業務の最適化・効率化なんかできるはずがありません。

チーム視点で考えられるのは、任せられたことは完璧にやる、頼られたら全力で答える、真剣に相手のために行動する。

「全員がこういった意識で動ける」という信頼関係があるからこそ、チームのために行動することができるのです。

事例4:人間として個性的で魅力的なメンバーが増える

キャリアとは、専門知識、スキルよりも実績の方が重要です。

自分はこういう性格で、こういった人に話すことは苦手で、こういった思考が苦手だ。だから、職場のこういうキャラクターの人と関係性を作り、このようにサポートしてもらえれば、自分は最大源の能力が発揮できる。これまで仕事をこのように進めてきて、こういった課題をこのように解決し、こういったアプローチで仕事を進める事ができた実績がある。

だから、あなたの会社に入社したら、それを同じようにするだけ。

知識はあっても結果が出せないのは、そういった人との関わり方を避けてきた人たちです。

だから技術があっても、経験があっても成果が出せない。チームとの関わりの中で、自分はこのように関わっていく。

人としての本当のキャリアは、人と人の関係性の中からしか生まれてきません。

事例5:建設的・生産的な話し合いが出来るようになる

人との関わりを避けて、自分の頭だけで思考が完結する人は、批判や机上の空論ばかり言います。

こういう問題がある、根拠がない、見込みはあるのか、でも対案はない。

結局いつまで経っても「どうやって改善するのか」に対する意見は出てきません。なぜなら、会社をよくしよう、職場をよくしよう、問題を解決しようなんてどうでもよくて、いかに自分が頭がいいと思われるか、ディスカッションで勝利するか、という自己満足ばかりを追求するからです。

「職場をよくしよう」という思いがあってはじめて「自分は好きじゃない考え方だけど、それならこれもありかも」や「現状であれば、あなたの意見に従おうと思う」といった妥協・納得、自分の意見よりも出された提案をブラッシュアップすることに協力することを優先できます。

自分の意見が採用されるのではなく、職場をよくするために協力する。

この意識を育てることなしに、建設的・生産的な会話は生まれません。

3.シェアドリーダーシップの課題とデメリット

ではなぜ多くの会社やチームで「シェアドリーダーシップが上手くいかない理由」についてお伝えします。

シェアドリーダーシップの3つの問題点

個々までご覧になられた人の中には、シェアドリーダーシップなんて理想だ、と思われる方もいらっしゃることでしょう。

それは以下の3つの問題が起こるからです。

問題1:必ず甘えるだけのやつがでてくる

職場で面倒見の良い人の周囲には、手を抜いたり、楽になればその分だけサボる人が必ず出てきます。

  • サボっていても、頑張っていても給料は同じ。
  • 先輩や上司は優しいので、怒ってくれない。
  • 自分が頑張るほど、あいつが楽になるだけ。

上記のような他人の努力に甘える人が周囲にいるとメンバーの努力は報われません。

チームワークを高めるためには、ただ甘えさせるだけではなくて、駄目なことに厳しく叱り、評価する事が大切です。

問題2:連帯責任を履き違えている

「連帯責任」という言葉もありますがこれは間違いです。

なんでもかんでも連帯責任にされたら「こいつがいると自分まで巻き込まれる」と思うようになり、お前は何もするな、余計なことはするな、と問題を起こす社員に仕事させようとしなくなります。

連帯責任とは、ミスにかけるものではなくて、ミスをした後の話です。

誰もカバーしない、フォローしない、ミスを隠す。

「自分のせいじゃない、自分には関係がない」という意識が駄目なのであって、ミスをしたことに対して責任をチームに押し付けるものであってはいけません。

問題3:仲良しこよしの関係性になる

チームワークとは、ライバル・戦友としての関係性を築くことであり、仲良しの関係性になることではありません。

やる気がない人がいれば鼓舞する。雑な仕事をしていれば叱る。甘えていればそれは駄目だよと諭す。

誰か1人がサボれば、そのツケはチームメートの誰かが負担しています。

「皆のために自分が頑張る。自分が楽をするために周囲に迷惑をかけてはいけない」

これが日本人の誰しもが当たり前に持っている世界に誇れる日本人の価値観です。

「大丈夫カバーするから。」・「気にしないで一生懸命取り組んでいることはわかるから」

自分に厳しくすることで、その努力は必ず他人からの優しさという形で自分に返ってきます。

シェアドリーダーシップのデメリット

またシェアドリーダーシップを実践するプロセスにおいても以下の3つのデメリットが生じます。

デメリット1:最初は自分でやったほうが早い

チームワークが高いチームではシナジー効果を発揮し、足し算ではなく、掛け算になり、1人が個別に作業するよりもより効率的に作業が出来るようになります。

しかし、上手く連携が取れないチームワークが低い職場では、意思疎通の問題や互いの理解度の低さによって、報連相が機能せず、ミスが多発し、「自分でやったほうが早いし確実」・「自分の仕事を責任持ってやろう」という気持ちになります。

デメリット2:教えて身に付く能力ではない

仕事の進め方や知識などは、教えれば比較的短期間で習得する事がで来ますが、「自分と他人の関わり方、自分の長所を伸ばす、自分の大切にしている考え方や人格を磨いていく。」というのは他人が教えられるものではなく、メンバー全員が向上心を持って、チームメンバーと関わりながら仕事をしていく内に磨かれていくものです。

そのためお互いにアドバイスやサポート、フォローは出来ても1人1人がチームのために努力するという姿勢が必要になります。

外部から強制的にやらせて、成長するようなものではなく、本人の自発性に強く依存します。

デメリット3:メンバー全員の強い前向きな気持ちが必要

チームワークを高め、シェアドリーダーシップ溢れる職場にするためには、意見の食い違いが起きても、どれだけ足を引っ張られても、メンバーの成長と努力を信じ続ける強い結束力が必要になります。

この人は必ず応えてくれる。いつか気付いてくれる。わかってくれる。絶対に自分は見捨てない。相手を応援し続ける。自分の気持ちを伝え続ける。

上記の気持ちをメンバーが失わないようにサポートし続ける事が必要です。

まとめ:理想のチームを作り上げよう

もしも、チームメンバー全員に積極性があり、わからないことは聞き、自分の仕事を探し、チームメンバーを信じ、全員が前向きになれたら、劇的な成果を生み出す事が可能になります。

管理職は指示や指導をするのが簡単になるし、お互いの作業スケジュールや進捗を把握しあい、それぞれがスムーズに作業できるよう助け合う。お互いが課題や目標を相談しあい、作業進捗を報告し、改善・改良が勝手に進むようになります。

人にどう話して、どうやって理解や共感を得て、相手との妥協点を見つけ、実行していくか。

知識・経験・技能・考え方の幅・人との接し方を学ぶとは、自分の性格の延長上にしか存在しません。

理解されない知識、技能、経験では成果には結びつきません。

学んだことを実際に試してみて、それ僕もやってみようかな、教えてよ、それみんなにもしてもらおうよ。

これがノウハウと呼ばれるものです。ノウハウは、人に教えることはできず、「人にこう話せば上手くいった。こう接するようにしたら上手くいった。」という自分の成功体験という記憶でしか学ぶことは出来ません。

シェアドリーダーシップのある理想のチームを作るためには、チームメンバー全員がシェアドリーダーシップという考えを正しく理解する事が重要です。

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