リーダーシップとは何か?リーダーシップを身に付けるための全手順
スポーツやビジネスで大きな成果を手にするにはチームが成長する必要があります。
あなたがスーパーエースであったとしても、体は1つしかありません。あることをすればあることをする時間がなくなり、圧倒的な成果を手にするには、あなたしかできないことを他の人にも出来るようにするしかありません。
そうすれば、あなたは更に上のステージの作業に専念でき、チーム全体が成長することが出来ます。
しかし、チームメンバー全員に向上心があることは稀で、少数の中核メンバーがチームのパフォーマンスを支えています。
- 人の心理や行動は変えることができるのでしょうか?
- 変える事が出来たとして、どのようなアプローチがあるのでしょうか?
- そしてそれはどのようなスキルで、どうすれば習得できるのでしょうか?
上記の疑問について、研究する学問が”リーダーシップ”です。
もしも、上司や先輩、同僚・後輩・協力業者・顧客と良好な関係を構築し、上手に行動を誘導することができたとしたら、圧倒的な成果を手にすることが可能になります。
自分1人が悩み・苦しみ、他人の仕事まで背負うことはなくなります。
周りを上手く使い、効率的に成果を出す。そのノウハウがリーダーシップです。
1.リーダーシップとは何か
昇進や役職が上がれば、部下や後輩を持つリーダーになります。
リーダーになれば決裁権という組織上の権力を持つことが出来ますが、それはリーダーシップとはいえません。単に後輩や部下に対して”イニシアチブ(主導権)”を握れるようになるだけにすぎません。
表面上は指示を聞いているように見えても、手を抜いたり、指示した以上のことはしてくれない可能性もあります。
権力や立場で人の行動を完全に支配することは出来ないのです。
リーダーシップがある人とはどのような人の事をいうのか?
では次に【リーダーシップがある人とはどのような人か?】について考えて見ましょう。
名監督、名キャプテン。有名政治家・有名経営者。
上記の人たちの共通点として「どれだけ人の心を揺さぶる事が出来たか?」が挙げられます。
全く同じ内容の伝言ゲームをしたとしましょう。Aさんが指示した場合とBさんが指示した場合。結果は同じにはなりません。誰が指示したか、誰が指導したかで部下や後輩の行動の成果は変わります。
人は言葉の正しさを聞いているのではなく「この人がいうのであれば」という人柄を見ているのです。
つまりリーダーシップのある・なしは、「周りの人たちがどのくらい自分の言葉や態度、行動によって、影響を受けたか?」で判断する事ができるというわけです。
リーダーシップとは人を動かした結果である
つまり「リーダーシップ」とは、物理学の学問のように、理論そのものが観測できるわけではなく、人の行動の結果の変化によって観測されるものであり、姿・形というものは存在しません。
AさんがCさんに残業をお願いすれば1時間しか残ってくれないが、Bさんがお願いすれば2時間残ってくれた。1時間の差が出た。これがリーダーシップによる効果だ。と考えてみるとわかりやすいかもしれません。
仕事で大事なのは成果を残すことであって、能力や知識が高いことではありません。
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リーダーシップとマネジメントの違い
リーダーシップとマネジメントは大きく異なります。
マネジメントは経営組織における仕組み【ハード面】:どのようなルール・マニュアル・ツールを使って管理すればいいかという手順や要素について考えるのに対し、リーダーシップは人は、どのような要素によって動機付けられるかのか?という【ソフト面】:話術や振る舞いなどを考えるという違いがあります。
どのような仕組みを運用しようとも、その運用をするのは人で、そこには必ず感情と認知(損得感情)が入り込みます。
そういった人それぞれの思考プロセスを紐解き、リーダーが望む方向に上手く誘導する心理テクニックを研究する学問が”リーダーシップ”であるといえます。
以下の記事では、リーダーが果たすべき4つの役割とリーダーに求められるスキルについてご紹介しています。リーダーシップを学ぶ意義と目的について深く理解できると思います。
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2.リーダーシップは本当に必要なものなのか?
「リーダーによってパフォーマンスに差が出る」というのは多くの人がなんとなく感じていることですが、「結局どのようなシーンで、どのようなことをすればいいの?」という方法論にまで落とし込めている人はそう多くないと思います。
そこで研究されたのが「リーダーシップと業績の関係性」でした。
どういう環境で、どういう条件であれば「リーダーシップは業績を加速させうることができるのか」について、研究したものが”リーダーシップのコンティンジェンシー理論(状況適合理論)”です。
リーダーシップの効果は状況によって変わる
リーダーシップには、【指示を得意とするパフォーマンス型リーダーシップ】と【サポートを得意とするメンテナンス型リーダーシップ】という不動の2軸”PM理論”があります。
上記の2つのリーダーシップと業績の関係性を調べた結果、工場のようなルーティンワークが多い職場ではP(パフォーマンス)型リーダーシップが有効で、開発などのルーティンワークではなく柔軟な対応が必要な職場ではM(メンテナンス)型リーダーシップが有効だということがわかりました。
加えて言うと職人を多く扱うような職場ではP型リーダーシップがあればあるほど、業績が下がるという結果でした。
指示を細かくするというのは、高度にマニュアル化された仕事ではいいけれど、状況に応じて判断しなければいけないような仕事ではメンバーの主体性を奪う結果になるということです。
つまり間違ったリーダーシップを発揮してしまうと業績は下がってしまうということを示唆しています。
必要なリーダーシップはメンバーによって代わる
必要なリーダーシップはメンバーの習熟度によっても使い分けなければいけません。
新人社員であれば、知識も経験もスキルもなく、具体的な指示がないと動けないので、P型リーダーシップが有効です。しかし、経験が豊富なベテランに細かく指示すると「考えが合わない」などへそを曲げたり、「好きなように出来ない」という理由で主体的な行動をしなくなります。
つまり、メンバーによってリーダーは「リーダーシップを使い分けなければいけない。」ということがわかりました。
人によって必要なサポートは違うし、「求められた時に求めることをする」というのはリーダーシップでなくともビジネスでは当たり前のことです。
3.6つのリーダーシップスタイル
そこで「リーダーシップ行動にはどのようなものがあるのか?」というリーダーシップの行動の種類【リーダーシップスタイル】について研究が進められるようになりました。
そこでわかったものが以下の6つのリーダーシップスタイルです。それぞれのリーダーシップスタイルについては、以下の記事リンクで詳しく解説しています。
- 指揮官として指示を出して動かすのが上手い”パフォーマンスリーダー”
- メンバーを鼓舞してやる気を引き出すのが上手い”メンテナンスリーダー”
- 目標や進むべき方向性を伝え、チームを1つにまとめる”ビジョナリーリーダー”
- 人材育成が上手なチームのレベルを底上げする”ティーチングリーダー”
- 部下や後輩の主体性を引き出し、メンバーの個性を引き出す”コーチングリーダー”
- メンバーが動きやすいように段取りや仲介などの根回しをする”サーバントリーダー”
4.リーダーシップをマネジメントするためには
しかし、人にはそれぞれ向き不向きがあり、上記全てのリーダーシップスタイルを身に付けるのは現実的な話ではありません。
そこで考えられたのが「リーダー個人がリーダーシップを発揮する」のではなく、「チームでリーダーシップを共有すれば良い」という考え方です。
リーダーにリーダーシップがある必要は必ずしもない
「リーダーシップのために業績がある」のではなく、「業績を向上するためにリーダーシップを発揮する」ものであるはずです。
そう考えると「リーダーだからリーダーシップを身につけないといけない」という話はおかしくなります。
就活や研修でのグループワークを考えて見ましょう。
お題が専門的な話で自分が太刀打ちできない時、上手い人はどうするか?
答えは「司会に回る」です。
専門知識がある人に好き勝手に喋らせ、論点がぶれないように会話を支配し、最終的に上手い落としどころに持ってくる。それが出来ればリーダーとして花丸です。
それがチームでリーダーシップを共有するという考え方であり、”シェアドリーダーシップ”については以下の記事で解説しています。
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次世代リーダー候補に教えるべきリーダーシップのマネジメント
つまり次世代リーダーの育成において重要なことは「リーダーシップのマネジメントを学ぶ」ということになります。
これからリーダーになる人が身につけなければいけないスキルとは【自分の経験した範疇で物事を考えるのではなくて、メンバーの個性を引き出し、長所を伸ばしていく能力】になります。
しかしこれは簡単なことではありません。なぜなら「自分がわからないことを部下や後輩に任せ、自分は後方でサポートする」ということは”コントロールが効かない”と不安に感じる人が多いからです。
「メンバーが好き勝手動くのにチームはなぜかまとまっている。」
【能力は高いが一癖あるメンバーを上手く使える猛獣使い】がリーダー像として一番イメージしやすいのではないでしょうか。
この能力は日常業務の延長では身に付かないので、普段の仕事をしながら意識して能力を磨いていく事が重要になります。
リーダーシップとキャリア形成
ここまでで”リーダーとしてのスキル”と”メンバーとしてのスキル”は全くの別物であることをご理解いただけたのではないでしょうか?
リーダーとしてキャリアアップしていくためには、まず自己分析を行い、自分なりのリーダーシップスタイルを確立していく事が重要です。その過程で自分には難しいリーダーシップスタイルが見えてくるので、それを持つ人があなたのパートナー・頼れる右腕・頼るべき部下になります。
そしてチーム全体を見渡し、不足しているリーダーシップスタイルこそが採用で補充すべき人物像になります。
5.リーダーシップを身に付けるには
リーダーシップを身につけ、マネジメントしていくうえで以下のステップでリーダーシップ教育を行っていく必要があります。
STEP1:自分のリーダーシップの適性を知る
自分がリーダーシップを発揮すべきシーンはどれで、どのようなシーンでは自分が積極的にチームをリードすべきかを知るためにリーダーシップテストを受けましょう。
自分の適性について深く知ることで、自分がどのような人になるべきかの方向性が見えます。
STEP2:自分の弱点を補完してくれるパートナーを見つける
自分の適性を知れば、自分にできないこと・苦手なこともまた見えてきます。
その人こそがあなたを一番助けてくれるキーマンであり、それが出来る人を見つけ、良好な関係性を作ることに時間を投資しましょう。